これまで私が見てきた、記憶にあるありとあらゆる映像作品の、どれよりも素晴らしい映画だった。オールタイムベスト1。決して大げさな話ではなく、本当に心の底からそう思う(っても、私の映像経験値は非常に低いので信用ならんか)。
これが単館上映だなんて、あり得ないよ!! とにかく、見ることができる環境にある人は、今すぐ映画館へGOだ。予備知識はなければないほどいいだろう。私は映画の予告編しか見ていなかったので、それも幸いしたと思う。どこへ向かうのか全く予想がつかない物語、繰り出される驚きの映像、絶え間ないギャグ、過不足なく研ぎ澄まされた台詞、言葉よりも雄弁に物語る美しく懐かしい景色、それら全てに込められた様々な感情を、その場でなにも考えず、素で感じるのが一番だと思うから。
以下は、見に行くのなら読まなくていいけど、それじゃあさっぱり内容がわからないヨ!という人向けに。
特に見て欲しい人→いでさん、向井さん、u-kiさん、おおたさん、風野ドクター。それぞれ全く違う個所を、全く違う意味合いで。私よりも多くの情報と意味と感慨を受けとめられると思うので。
繰り返すけど、前知識なしに見るべきだから。前知識のあるなしが映画の価値を左右するわけではない。でも、本当に、全然印象変わっちゃうと思うから。絶対に損しちゃうと思うから。余所のサイトで見かけても、目をつぶって走り抜けて欲しいぐらいだ。
以下、ネタバレです。たいしたことは書かないけど(見てない人には意味不明程度)、これから見る人は絶対に見ないで下さい。とりあえずメモ。
まだ沢山ありそうだけど、思い出したら追加しよう。【 bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / 楽天 / skysoft 】
実は(といういか)、筒井康隆はほとんど読んだことがない。中学時代に、恐らく(覚えてないけど、鶴書房系の)ジュブナイルが1、2冊、あとは『エディプスの恋人』『七瀬ふたたび』を(この順番で)読んだきりじゃないかな。『家族八景』は未読。一度堀ちえみのドラマをちらりと見かけたきり。これは、たまたま持ち歩いていたジーン・ウルフ『拷問者の影』の残りページ数が心許なかったために、出先で急遽購入したもの。
結論から言うと、ちっとも面白くなかった。悪い意味で、「夢のようなお話」だった。ということで、以下ネタバレ。
あとは、先行して読んでいた『拷問者の影』に、色々と似ていなくもなかったことも災いしたのかもしれない。と思わないこともない。でも、ラテンアメリカ系列で名前が出てくるだけに、ちょっとびっくりするぐらいがっかりしてしまったので、その後お薦めされた『脱走と追跡のサンバ』は読んでみるつもりです。はい。
「脱走と追跡のサンバ」 筒井 康隆【 bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / 楽天 / skysoft 】
『難船ス物語 第壱篇 猿ヶ嶋』猿がとにかく動く動く。これは切り紙なの? 表情や仕草が柔らかい上に、引き気味の画面ごと動きまくるのがすごかった。赤ちゃんの声が、コエカタマリン状で、声の圧力が感じられる。無声映画で笑い声を上げるのは、なんだか憚られた。
『茶釜音頭』一部しか音が残っていないみたい。狸が雲の上を走ったり、梯子に変身したり。子どもっぽいちょこまかした動きが可愛らしいんだが、その作りこみ様に、どんどん異様な執念を感じていって、正直怖くなってくるんだけどね。
『べんけい対ウシワカ』何か、べんけいすごくアホ。福笑いみたいにくるくる顔が変わる(ひっくり返しても顔に見えそう)。動きはラインナップのなかではおとなしめな気がするけど、弁慶の重量感のある歩き方と、ウシワカのふわふわ感、小僧のちょこまかした動き方とか、全然気を抜くところがない。
『フクチャンの奇襲』どこが奇襲なのか! ゲタの女子高生(?)とか、当時の生活風俗がしのばれる。一番普通っぽい。
『くもとちゅうりっぷ』凄かった。テントウムシの羽のちょっとした動きとか(硬い羽の下から、薄い羽がちょこっとはみ出たりするのがカワイイ)、蜘蛛の手足の複雑だけど無駄のない動きとダンディっぷりに、憑かれたものを感じる。そして嵐!(嵐ネタ好きなのね) 絵がイイというのは勿論なんだけど、蜘蛛の散々なやられっぷりが素晴らしい。時々立体が混ざっているように見えるんだけど、どう撮っているんだろう? カラーで見たかったなあ。
『桜』舞妓サン?がきれい。蝶々の動きがすさまじく細かい。画面の揺れ方とか、計算しつくしているのが……。環境映画だねえ。
『すて猫トラちゃん』物語的にはトップ。それと、猫が本当に猫っぽいのと、トラちゃんに嫉妬した三毛ちゃんが、本当に拗ねた子どもっぽいのがツボ。時節柄、戦災孤児問題をテーマにしたものなんだよなあと思ってみると、トラちゃんの一生懸命っぷりに泣けてきます。コレ欲しい。ミシンが良かった。カジノロワイヤルの逆襲による紹介が良い。
『トラちゃんと花嫁』気が狂っている。全然意味ないやん!というところで、カメラがぐるぐる回るのが、無茶苦茶おかしい。本当に「やりたかっただけ」のカットを、無理矢理映画に突っ込んでいる感じ。すごく変。なんだけど、猫的にはOK。怖くて厳格なおじいさんが、怒り心頭であるにもかかわらず、ネズミやとんぼのおもちゃに思わずじゃれ付いてしまう仕草とか、アホらしくて最高です。オチも。
『トラちゃんのカンカン虫』花嫁を見た後だと、どんなものでも中途半端に感じられてしまう。家族的なテーマが希薄なせいか、脚本もやっつけっぽい。バンクでギャグするのは、これまでの流れからするとびっくりするよね(政岡はあまり関わっていないんだっけ)。