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ざぼんの皮 2004年 07月


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Jul.16,2004 (Fri)

成田良悟『バッカーノ!』メディアワークス電撃文庫

「バッカーノ!―The Rolling Bootlegs」 成田 良悟
サイズ: 15 x 11cm 発行: 2003/02 価格:
ISBN4-8402-2278-9
『禁酒法時代、ニューヨーク。裏組織“カモッラ”は重要な儀式を数日後に控えていた。泥棒カップルはグランド・セントラル・ステーションに着いたばかりだった。マフィアの三兄弟はちょっとした問題を抱えていた。チンピラの少年は思い通りにならない現実にムカついていた。職務に忠実な警部補はそんな彼らを疎ましく思っていた。そして、錬金術師の野望は200年を経て、未だついえる事はなかった。彼らはまだ、互いに関わりの無い者同士であった。このマンハッタンに“不死の酒”が蘇るまでは―。第9回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞作。』

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 ストーリーとネタと、恐らく目指そうとしているところは、今の私の希望に最高にマッチしている。んだけど。

 文章と料理の仕方に不満が。ちょっとごちゃごちゃしすぎ。群像劇はもともと好きなんだけど、遊びがない/ご都合主義すぎる/メリハリに欠ける……って、同じことを言っているだけだなあ。かなり小さな物語に(なっちゃっているのも残念)、登場人物とシチュエーションをごてごてに突っ込みすぎている感がある。もうちょっと余裕をもって、話を膨らませて欲しかった。その上で、もっとストレートに。地の文で頻出する「螺旋が云々」とか、「時間を遡って」とかいう書き方が、読む方の興を削いでしまう。メタ化して親切にした、ということなのかもしれないけど、「あれ今何かはねたな」「わ、こいつらはねられちゃった!」ってのを読むのが、こういう小説の醍醐味の一つだと思うんだが(私的には)。画面の端っこに映っていたアレがアレにというのを、いちいちクローズアップして見せてもらっても、うむー。文章や台詞で(あっさり)説明しすぎるのも気になった(エニス〜)。もうちょっと情感を含ませた描写をして欲しい。軽すぎる。楽屋落ち的地の文ツッコミはやめれ〜。

 あ、わかった。登場人物に思惑がなさすぎるんだ。点として存在していて、それなりに存在感を主張をしてはいるけれども、いま一つベクトル(方向と大きさ)が足りないため、点と点が絡まない、という感じ。いちいち点が偶然で動くので、その理由をいちいち立てなければならず、結果的に物語に無駄が出て、ごちゃごちゃ感が付きまとうのだ。

例えばフィーロがエニスに惚れる、というのが、一つの発端であり、フィーロとエニスを繋ぐ点線がここに生まれる。が、そのベクトルは点自体を動かさない。偶然によって点と点が至近で出会うまで、引き合う力が発生しない。セラードとマイザーも、点線で結ばれているはずなのだが、マイザーのベクトルは常にファミリーの中にしか向けられておらず、これも実際に点同士が出会うまで物語を動かすベクトル足り得ない。バカ強盗カップルには思惑なんて関係ない。常に偶然によって動く、ビリヤードの最初の玉みたいな? あまりにも都合が良すぎてうーん、という感じ。もうちょっと点同士のベクトルがはっきりしていたら、すっきりしたと思うのだが。と、『パトレイバー』を読み返していて思った(関係ないけど)。
 とか、文句は多いんだけど(実際あまり楽しめたとは言えないんだけど)、非常に今後に期待! すんごい私好みのものを書いてくれて、一般的にも大成しそうな気がする。志の高さと、そこへ向かう真摯さを(過剰なほどに)感じまする。それこそリョサ『世界終末戦争』級まで頑張って欲しい。

 もう少し読んでみよう。

去年の今ごろ……

Jul.17,2004 (Sat)

あさのあつこ『No.6#1』講談社YA!entertainment

NO.6(ナンバーシックス)#1「NO.6(ナンバーシックス)#1」 あさの あつこ
サイズ: 19 x 13cm 発行: 2003/10 価格:
ISBN4-06-212065-8
『どうしてあの夜、ボクは窓を開けてしまったんだろう? 飢えることも嘆くことも戦いも知らずに済んだのに。 2013年の理想都市「NO.6」。 エリート居住区にすむ紫苑(シオン)は12歳の誕生日の夜、特別警戒地域から逃走した少年・自称ネズミと出会う。その瞬間、紫苑の人生はリセットされた。待つのは破滅……!?』

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 ずっとジュブナイル系(私的)萌え小説が読みたくてたまらないヨ、『ウルフガイ』みたいな!(超能力とか狼男系SFジュブナイルです、要するに)とか言いながら、ライトノベルも触ってみたものの、何かやっぱり違うのね。文章の手触りが。そこで児童文学系に行ったら、やっちまったよ、オイ。……これ、まだ全然完結してないシリーズなんだよね……orz。1巻なんて、本当に途中じゃん!! まだこれが面白い話なのかどうかすらわからないぐらいの導入の導入。でも掴みはオッケー!! だったりするので、早く2巻を読みたいよ!!

 「No.6」と言えば、当然真っ先に思い浮かぶのが『プリズナーNo.6』だけど、私は見ていない。ディッシュの小説も読んでいないので、関連性があるのかどうかはわからない。ただ、粗筋を読めばわかるとおり、本当に真っ当な古き良き昔懐かしきジュブナイル。管理された都市、ディストピア、壁の外の世界、スペシャルランク、排除されたもの達。そこに謎の変死事件が関わり、さてどうなる!?という、もうそりゃベッタベタベッタンベッタンですよ。こういうものが読みたかったんだヨ、今という形そのものであります。文章も、ライトノベル系ではなくて安心できるし。

 ただ問題は全然完結していないということだ。全何巻なんだ? 1巻はだいたい1時間半弱で軽く読めてしまったのでなあ、消費が早いのに、続きはなかなかでないのではないだろうか(´・ω・`)。

 さらにあれだ。あーーーーー、非常にやおい臭い。「艶っぽい」とか言うなッ、いちいち赤くなるな! 女の尻より男の尻カヨ! しょっちゅう取っ組み合っているし! ……まだ私のやおいコードに引っかかるほどではないので(「艶っぽい」には正直引いたんで、センサーが立ちあがっちゃったのよ)、これ以上も多分大丈夫だ、と思いたい。

 逆に私の萌えポイント(怪我をおして戦うとか)はがっちり押さえてくれているので、期待だ!(『バッテリー』はラジオドラマを少し聞いたけど、あまり私的萌えは入っていなさそうだった)。

 はあああ、早く続き借りに行かなきゃ……。

NO.6(ナンバーシックス)#2「NO.6(ナンバーシックス)#2」 あさの あつこ
サイズ: 19 x 13cm 発行: 2004/02 価格:
ISBN4-06-212229-4
『近未来サバイバル小説第2弾。聖都市「No.6」のエリート候補生から一転犯罪者として逃亡中の紫苑。ネズミの言った「すべてを知ってもなおNo.6に帰りたいならオマエは敵だ」の真意は?』

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去年の今ごろ……

Jul.18,2004 (Sun)

あさのあつこ『No.6#2』講談社YA!entertainment

NO.6(ナンバーシックス)#2「NO.6(ナンバーシックス)#2」 あさの あつこ
サイズ: 19 x 13cm 発行: 2004/02 価格:
ISBN4-06-212229-4
『近未来サバイバル小説第2弾。聖都市「No.6」のエリート候補生から一転犯罪者として逃亡中の紫苑。ネズミの言った「すべてを知ってもなおNo.6に帰りたいならオマエは敵だ」の真意は?』

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「あんたといると、時々、本当に苛つく。理想論や奇麗事ばかり考えて、それを本気でしゃべってる」
 というのはネズミの言葉だけど。

 うーん、2巻目にしてかなりビミョー。冒頭からカヲル君並みの会話が交わされたり、「優雅だ」とかいう話になったりして、やおいコードに引っかかりそうにはなったけど、そうじゃなくて。

 一つには、ジュブナイルだからなんだろうけど、過剰な親切さが……なあ。非常に説明的な母のパートが、物語を完全に殺している(あれなしで最後のメッセージが届いた方が、衝撃度や今後への牽引力はあったと思うんだがなあ。しかも母パートに、敢えて書かなければならないほどの要素が何もないしorz)。

 また、それに伴う無防備な視点の移動、さらにそこから浮き彫りにされる「紫苑」(と母)の人物像が、かなーーーーり微妙。ネズミが紫苑に対して「天然」という言葉を口にするけれど(そもそもこの「天然」(=「天然ボケ」?)という単語の使い方がなあ。これって、かなりコンテンポラリーな「現代のワカモノ言葉」、しかも恐らく漫才芸文化を下敷きにした言葉であり、その範囲内でしか通じないものであるはずだ、よね?)、……鬼束ちひろに対して感じるイヤ感にかなり似た物を感じてしまう。

 ほぼ紫苑視点でノンストップだった1巻とは打って変わって、大きな動きのない、外の説明のための巻であることはしかたがないにしても、かなり微妙。別に物語に意外性を求めているわけではないので、ベタ上等!なのだが、これはちょっとなあ。

 3巻は読むかどうか。うーーん。

 というわけで、消化不良を起こしたベタジュブナイル読みたい病、今度は林さんもお薦めのジョン・ピール『2099 恐怖の年』を2冊借りてきた。これもすごくベタそうだ!(しかも完結している)。

終末の日〈1〉2099恐怖の年「終末の日〈1〉2099恐怖の年」 ジョン ピール (著), John Peel (原著), 唐沢 則幸
サイズ: 19 x 13cm 発行: 2003/02 価格:
ISBN4-03-744510-7
『全世界がコンピュータ管理されている2099年。トリスタンは自分の出生の秘密を探るうち、謎の組織の陰謀に巻き込まれていく。未知のウィルス「終末の日」とは? 近未来SFシリーズ第1巻。』

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裏切り―2099恐怖の年〈2〉「裏切り―2099恐怖の年〈2〉」 ジョン ピール (著), John Peel (原著), 唐沢 則幸
サイズ: 19 x 13cm 発行: 2003/03 価格:
ISBN4-03-744520-4
『コンピュータウイルス「終末の日」により、世界は大混乱に。犯人として警察に追われるトリスタンは、たった一人で謎の組織に立ち向かう。2099年を舞台にしたSFシリーズ第2巻。』

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 あ、それと。今は「この本が読みたいナー」という気分ではなく、「こういう話が読みたい!」モードでおるので、ちょっと普段とは気構えが違うかもです。

去年の今ごろ……

Jul.19,2004 (Mon)

映画『天空の城ラピュタ』

 東京都現代美術館企画展『日本漫画映画の全貌』で上映されるというので行ってきた。『ナウシカ』は市民会館で、『トトロ』は新聞社の企画か何かで見たんだけど、『ラピュタ』だけは大画面で見たことがなかったのだ。宮崎アニメでは、私は断然『ラピュタ』派なのに!

 実際、劇場で見る『ラピュタ』は、ビデオ(テレビを録画したもの)で見るものよりも、5割増で良かった!! 大げさではなく、何十回も見ているから、筋も画面運びも、みんな覚えているぐらいなのに、物凄くどきどきわくわくした。自分でも驚くぐらい。

 かつて、ふくやまけいこが『えんにちあいこうかい』で、ラピュタをぴょんぴょん飛び移りまくるパズーを、「緊迫感がない」というふうに書いていたけど(私は映画を見るより先に『福袋』を読んでいた)、とんでもない。私はものすごくはらはらしたよ。特に、パズーがドーラを助けるために、崩れた石の柱に飛び移るシーン。足元が崩れて、後ろでは黒服がウロウロしていて、シータも思わず顔を覆っちゃうところ。怖かった怖かった。

 確かに、パズーは完璧超人だけど、それがはまっているからいいじゃない。私的には、コナンはちょっと嫌味に映るんだけど、パズーにはそれがない。何でかな。パズーの方がけれんみたっぷりなんだが、凧で寒がるシータを自分のポンチョに入れちゃうところとか、ラピュタにたどり着いてロープがほどけないのがもどかしくてシータごと抱き上げて歩き出すところとか、すごく(・∀・)イイ!! パズーって、終盤に向かうに従って、ちゃんと死を覚悟していく感じがする(対して、コナンはあんまり覚悟していない気がする)。「おばさんの縄は切ったよ」というシーンで、今回初めて泣きそうになった。

 ツッコミ所は沢山あるけれども、そんな暇もないぐらい、勢いとノリを画面いっぱいに見せつけて、それで全部持って行っちゃうのが素敵な冒険活劇。音楽も好きだし、本当に見られて良かった。ノベライズ読み返したいな。

 あ、企画展の方も良かったよ。11時半に駅に集合して、マルチプレーンのデモを見て、映画見て、展示見て、だと時間が足りなかったなあと思うぐらい。図録もすごく良いもので、最後まで買おうかどうか迷ったのだが……。会場で投影されていた『くもとちゅうりっぷ』『桜』『すて猫トラちゃん』がすごく良さそうだったので、フィルムセンターの政岡憲三の回は見に行く予定。

去年の今ごろ……
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