混むぞ、混むぞと思っていたけど、あまり混んでいなかった土曜日の1時半の回。やっぱりあらかた見る人は見てしまった後であるらしいけど、これはすごくいい映画だった! まだの方も是非。
1950年代初頭の北欧。ノルウェーの田舎に住む、年老いたひとり暮らしの男の元へ、スウェーデンの「家庭研究所」から調査員がやってくる。 調査員の目的は、“独身男性の台所での行動パターン”を観察するためだ。台所の隅に、男を見下ろす奇妙な監視台が設置される。ストーリー自体は、粗筋通りの内容。なんだけど、こりゃ設定の勝利だわなあ。しょぼい偏屈じいさんを、プールの監視台みたいなところから見つめつづける中年男の組み合わせ。しゃべってはならない、干渉してはならない(特殊戦!)というルールが決められているので、目と目、表情の演技に焦点があたっていて、ものすごくおかしい。台所を出入りする時のドアの音とか。それもあって、全体的に描写がすごく控え目なのも気に入った。ラストシーンも、見るものの感情をガッと引っ張ることはできただろうに、そうしなかったのは良かった。静かな余韻がいい。舞台がほとんど狭い台所に限られているし、登場人物も少ないし(プロローグ以外、全て男性。子供はエキストラで一人だけ、あとは全部中年以上)、舞台向きの話だと思う。じゃなくて、これ、舞台でも見てみたい。
調査される男と調査員との間には、「お互い会話してはならない」「いかなる交流ももってはならない」などのルールが決められていた。最初は気を許さないふたりだったが、観察生活が続くうちに、男の生活に少しずつ変化が生まれてゆく……。(公式サイトより)
左側通行で工業的にも発展している豊かなスウェーデン人が、右側通行で貧しいノルウェー人を監視して分析するところに、お国柄の皮肉も込められている。ただ、公式サイトにあるような、やたらと「スローライフの良さ」に持っていきたがる紹介のし方には非常に違和感を覚える。まあ、スローライフブームに乗せたがる気持ちもわからんではないが、微妙にそりゃ変だと思う。あと、スウェーデン人は塩分の取りすぎだと思う。北方の冬で保存食中心の食生活だからだろうけど、ニシンの漬物、チーズ、ソーセージってあーた……。
以下、ややネタバレで、こまごまと。
「下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん」 嶽本 野ばら【 bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / 楽天 / skysoft 】
私は深田恭子が好きじゃない。まあ何しろ無表情だし、棒読みだし、大根だし、ちょっと心配なぐらいふっくらしているし(注:私はふっくら目の女優さんが好きなんだけど、彼女はちょっと「運動してなさそう」とか「食べ過ぎていそう」という感じがする。なぜだろう)、バラエティに出ても受け答えできていないし。実際、ロリータ姿で『ベストヒットTV』に出たときも、全然なっていなかった。だから当然、この映画の予告を見ても、あーまたへにょいアイドル映画かよ〜と思っていて、全然見るつもりもなかった。
それが「ん?」と思ったのは、監督のインタビューを聞いたときだった。「もう、このヒロインは、深田恭子しかいないと思ってました。絶対こいつ、演技の時、本気で笑ってねえ!!」って、あー、そういう風に思っていて撮っているのなら、いいかも、と。その後、公開されてからの評判も上々だったので、見てきました。
いやーーーーーーー、すっごく良かった。何しろ見せ方が上手すぎ。心配していた深田恭子の演技も、下手が下手でないようにがっちり制御している。ダメなところがむしろ良く見えるような処理が素晴らしい。大根な演技も、ココロが入ってないからなのよ、ってことでOKだし、ロリータファッションも、可愛いんだけど、あのふくよかさが適度な垢抜けなさ(変な日本語)を出している。
それにも増して凄かったのが土屋アンナ。お馬鹿だけど一本気なヤンキーを演じきっていて、感動した。きれいな顔をして、つばを吐き、頭突きをし、暴れまくる。ほとんど主役の深田恭子を完璧に食ってしまっていたぐらいの迫力。
いや、完全に深田恭子は土屋アンナに負けていた。演技、インパクト、美しさ(は、好みの問題かも)、観客の感情も、多分全部アンナが持っていっていたんじゃないかなあ。フシギちゃんのフカキョンよりも、余程分かりやすくて可愛いキャラだったしね。ところが、そこをきちんと回収して、ラストで深田恭子に花を持たせた、役者のバランスを考えきった脚本が、とにかく見事でした。あの啖呵は凄かった(ちょっと深田恭子のことも見直した!)。
上映時間は結構長いはずなのに、全く中だるみを感じさせないストーリー展開とテンポ。とにかく笑いっぱなしでお腹が痛くなるぐらい。さらに友情にホロリとさせる匙加減も絶妙。
一つだけ難癖を付けるとすれば、できればフカキョン以外には、是非茨城弁を喋っていて欲しかったなあということ。難しいとは思うけれども、それだけで話の深みがかなり増すと思うのだ(あれ以上の深みはない方がいいのかもしれないけど)。画面ではよくわからない下妻‐東京の距離感とか、尼崎から転校してきて、茨城で一人でロリータやっているフカキョンの心情とか。私は大学の4年間をつくばで過ごした(つくばはつくばで特殊なんだが)ので、尚更そう思う。そして何よりも、イバ弁で啖呵切る土屋アンナを見たかった。ラストの連合話は大受けでした。ツッチーヌ!!
見て絶対に損はない映画。いやー、やっぱり邦画好きだ。