【 bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / 楽天 / skysoft 】
と、それは横伸びになった。回転をする。細まったり膨れたりぷくぅぷくぅとはち切れそうになったり。その変化の間合いにホイホイホイッと跳ねるリズムの軽快さ、心地良さ、何やら胸のあたりがウズウズ、手足はムズムズ。気がつくとジラーはぎくしゃくとではあったが、そのくねくねホイホイッの泡ダンスを知らずに自分も真似ていたのだった。曲がったままの腰も、おぼつかない足も棒切れの腕も、夢のような軽やかさでヤファヤファとくねりだすではないか。いやはや何とも奇っ怪なことではあった。保多良島は、南の海のどこかに浮かぶ小さな島。死んだ人間を水葬にする風習のあるこの島では、いつのころからか新しい命が生まれる事がなくなってしまった。女が男を夜這う昔ながらの婚姻があったにもかかわらず、今や住むのは、上は百三十三歳、下は八十歳の老人ばかり。当然既に男女の営みは絶え、祭も風習も全て過去のものとなってしまった。それでも老人たちは特に危機感を抱く事もなく、毎日ユンタクヒンタクして生きている。
今回のユンタクのテーマは、海に現われた水の美女とまぐわったという117歳のジラーのお話。それを聞くのは、年若のタラーと、島最年少のサンラー(*1)。嘘か真か、「此(く)れー、夢ぬパナスやあらんどー、ふんとうぬ事どうやる、我んねー、嘘(ユクシ)物言いや、為(サ)ン。」と口角唾飛ばすジラーの話を、年若の二人がそれぞれに昔の事を思い出しながら聞いている。それだけの話。
思い返すのは、たいがいが男女の事(というか、そればっか)。働き者で、体格も良く、神事においても、性生活においても、何事においてもイニシアティブを取る女たちのパワフルな事。女たちよりもさらに無茶苦茶なのが、プリムンたち。どこからともなく島に流れつき、そのまま居ついてしまった姿形も違い、言葉も違う謎の人々プリムン(*2)。終始語り手は男たちであるけれども、彼らにとって異人である女や、プリムンのエイリアン的な描写が、たとえば水の化け物や、島を漂う死者の魂と世界を、なだらかにシームレスにしてくれているというかなんというか。
地の文の時制に一貫性がないのも、適当に良い効果を出している……と好意的に解釈してみた。ていうか、私が感じた面白さに、これはかなり関わっているような気がする。これは、多分計算でもなんでもなく天然なんだろうなあ。小説全体の語り手や、読者が在る「今」の場所が全く定まらず、動く歩道が突然がくんと止まったり、逆方向に進んだりする感覚に、本気で乗り物酔いしてしまう。時々現われる伝聞形のつけたし(「、という。」「、らしいが。」)にはまるで必然性がないし、「七不思議」という物言いや、冒頭の【が、その時すでに百十七歳にも達していたジラー本人も、ついこないだ、(中略)ということだ。】という書き方は、物凄くおかしくて、改めて読み返してみても、物凄く変。この調子で長編を書かれると、それこそぐちゃぐちゃになって読むに耐えないものになるだろうが、この長さだと、ぎりぎり何とか、酩酊感を味あわせつつ、こういうものだと誤魔化しきれる感じ。
とかまあ色々とあるんですが、この島で生まれた全てのものは、最後には海へ送り出されて、魂となってしまうのですよ。葬儀の場では、残された人々が、死者にカズラを巻きつけながら、生前の恨みつらみも一緒にあの世に持っていってもらうために、様々な事を告白する。今さらどんな恨み言……とて、胸に沈んだやりきれぬ思いを吐き出す事は、生者のためであるから。
許しとらするくとぅ、汝(ヤ)ーや彼方(アマ)かい行ちねー、肝病(チムヤ)みさんぐとぅ、安(やし)やしーと居(お)ーりよー、我んにん、くぬ事、今日(チユ)ーゆ限り、忘りるくとぅや……。沖縄弁に、かなり騙されている気もしないでもないけれども、面白かった。
%佐藤和歌子『間取りの手帖』リトルモア
「間取りの手帖」 佐藤 和歌子【 bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / 楽天 / skysoft 】
間取り収集家=MADORIST(マドリスト)を名乗る著者がかき集めた、おかしな不思議な間取り99件。各間取りに添えられる、ぼそっと呟いたような一言が、その間取りの魅力をさらに引き立てる。間取り好き著名人との対談“談話室”、著者によるコラムも掲載。装丁は『アイデア』などで活躍中のsign。手軽で可愛く、誰かの家をちょっと覗き見するような、楽しい気分になること、間違いなし!どうせ住むなら、こんな部屋でしょ。今日の逸品。リトルモアのサイトに内容があるんだけど、いやー、これは見ていて面白かった。余所の町に行けば、不動産屋の貼り出し物件チェックをしてしまうような人間には、幸せになれる1冊であります。
韓国料理の班家@御徒町でランチ。御徒町からはちょっと歩く、人気のない商店街の中にある。が、この店はちょうど満席で、少し待つほどの人気ぶりだった。人口密度にちょっとびっくり。
ここは焼肉メインではなく、韓国料理の店と聞いていたんだけど、ランチは焼肉中心……。仕方ないか。私はサムゲタン(1200円)とやらを、同行人は辛いうどん(名前忘れた)とビビンバのセット(850円)を。
サムゲタンは鶏につめものをしたスープ。出てきた大き目のお鉢で、透明なスープに鶏が1羽まるごと泳いでいて、ちょっと呆然。どうやって食べるんだろうと不安になったけど、柔らかい肉はスプーンでするりとほぐせる。いっしょに渡されたはさみは、結局一度も使わなかった。鶏の中には、もち米、栗、ナツメ、にんにく(2かけ)、朝鮮人参が詰まっている。これがお出汁たっぷりで美味いのなんの。塩が別に小皿に盛られているんだけれど、スープ自体には塩気はほとんどなし。それでも出汁だけで充分いける。塩を入れると、出汁の香りがさらに引き立って、おーいーしーいー!!
にしても量が多いのね。小さいとは言え、鶏1羽。骨をほぐすのが手間で、食べるペースが遅くなるものだから、たっぷり1膳盛られた白ごはんはほとんど手付かず。そもそも、サムゲタンの中にもち米たっぷりなんだし。付け合せのカクテキも適度な辛さで気に入ったけれども、残しちゃった。
問題は、同行人の辛いうどん。最初に少し小皿でいただいたら、これも美味い。やっぱりスープがいい。そして辛い! これがとてもいい辛さ。すごく辛いのに、いくらでも飲みたくなる。うどんもこしがあって、スネ肉(だと思う)はスジまでトロトロで、味がしみしみ。
しかし同行人は食べるに従い、どんどん無口に。玉の様な汗を流しながら、黙々と食べる。鬼気迫る表情でした。こちらも量が多くて、うどんだけでたっぷり1人前なのに、ミニビビンバもきっちり1膳。でも、見事完食。スープも飲む飲む。私が残した白ごはんにもかけたりして。
私も、辛いうどんの汁に、サムゲタンをかけて食べてみるとこれがまたおいしい。適度に辛くて、味があって、たまらん……。あー、美味しいもの食べた。
夜のメニューは、物凄く豊富なので、今度は夜来たい。御徒町なんて滅多に来ないから、ついでがないなあ。うーん。色々食べてみたい……。
にんにく大好き!2玉目(*1) 、1スレ目がDAT落ちしていたので、ググってキャッシュから救出したレシピ。
晩御飯は、ちょっと弱気に半黒柳(4かけ)で食べてみた。ブロッコリーの芯と、スナップエンドウと、マイタケもスパゲティと一緒に茹でて絡めて……。
あー、にんにく好きにはたまらん(T-T)。病み付きになる。そして、げっぷが強烈ににんにく臭いようヽ(´Д`;)ノ。確かに休前日にしか食べられない。今もまだ臭い(けどいい香り)。半分の量で充分ににんにくを堪能できる。
というわけで、今日はにんにくを合計6かけ食べたわけです。
青森県田子町役場をリスペクト。ミステリアスタウン……。
出張DASACONというわけでもないんですが、、「ネットイベント事始」をテーマに、スタッフがSFファン交流を考える会へお邪魔することになりました。4/12(土)原宿の渋谷区神宮前区民会館で2時から。参加費は500円で事前の申しこみは不用という気軽なお茶会ですので、宿泊はちょっと……、でもDASACONってどういう人がやっているの?という方は、ふらっと覗いてみて下さい(^^)。よろしくお願いします。
キッチン・ガーデニング第1弾として、バジルを買ってきた。
朝から自転車で近所のホームセンターへ行ってみたが、雑然と置かれた鉢や苗にあまりいい感じがしなかったので、別のガーデニング専門店に行ってみた。店先の苗を見ていると、すぐに気さくそうなおばちゃんが、「何を探しているの?」と聞いてきた。で、とりあえず、植物を育てるのは、まーーーーーったく初めてである事(小学校の時の朝顔や糸瓜も、まともに育てられた事がない)。だから、道具も何にも持っていない事。食べられる物がほしいこと等を説明したら、呆れられた。まあ、そうか。
んでまあ、他に選択の余地なく、育てやすくて、すぐ食べられて、初心者向きの1年草であるバジルに決められる。ほぼ問答無用。まだ苗が出始めだというので、ちょっと不安だったけど、大丈夫と断言される。そうか。土は個別に買うと高くなるし、100円ほどの手間賃で鉢への植え替えをしてくれるというので、お願いした。後でレシートを見ると、200円だったけど、土込みなのかな。
結局、苗280円+鉢200円+手間賃200円で、税込み714円。まともに育てば充分に元を取ることは可能な感じ。かなり予想よりも安くついた。
自転車の前カゴに鉢を入れて、とろとろと部屋へ帰り、ベランダの脇にあるエアコン室外機に鉢を乗っけて、小鍋で水をやる。そう言えば、うちには、如雨露は勿論、薬缶もなかったのだ。買いに行こうかと思うが、どうせなら昨日のうちにかっぱ橋で買えば良かったんじゃン、と悶絶。まあいいや。指示通り、鉢の縁から回しがけるようにするけど、鍋だとどうも不便で、じゃばじゃばと室外機に流れてしまう。あまり機械にはよくないだろうけれども、そもそも雨ざらしなんだし、大丈夫よね! お隣もしているし! と納得する。が、1鉢でこれだけ小さいと、大きな室外機の上がちょっと淋しい感じ。うーん、初めてガーデニングで飾り立てる人の気持ちがわかったかも。しないけど(多分)。
いやー、しかし、なんかこいつが可愛いわけですよ。用もないのに、ちょくちょくベランダの外を覗いたりして、気分は猿蟹合戦の蟹。ああ、早く芽をちょんぎらせて!
夜。Yahoo!のピンポイント予報を見ると、最低気温は10度。10度以下にならなければ大丈夫と言われたけど、部屋に入れた方がいいのかしら。でも、ハーブなんてもともと野草なんだし(日本のじゃないけど)、あまり気にする事はなかろう。……と思っていたんだけど、結局部屋に格納。初日だから虫もついてないだろうしいいよね、なんて、膝丸めてアホみたいにじーっと鉢を眺めてしまったり。ああ、わけもなく、か、かわええ……(;´Д`*)。ただの草なのに。
頼むから、飽きるまでに大きく頑丈に、食べられるようになっておくれ。
「熊の場所」 舞城 王太郎【 bk1 / amazon / Yahoo! / 旭屋 / Jbook / 紀伊國屋 / 楽天 / skysoft 】
うーん、なんか意外な感じ。読む前に、他のサイトの舞城感想を見ていて(読んではいない)、なんとなく、おどろおどろしい話を書く人なのかと思っていた。書名も、怖くて迫力があるし。本屋でちらりと立ち読みした時も、町田康みたいなだらだら文で、町田康のようにもったり重い感じなのかと思ったら、全然違った(*1)。
確かに、粗筋を説明すれば、おどろおどろしい話ばかり。なのに全然そんな風に感じない……いや、実際は感じているんだけれども、文章が躁なのだ。すごく異常な事や、恐ろしい事が怒っているのに、あまりにそれがイヤな事なので、乖離してしまっているような、それを全部きちんとひっくるめた上での、躁。
文章は慣れてしまえば、すごく読みやすくて、するする読める。なのに、物凄くイタイ。何だか身につまされる。登場人物がだらだら垂れ流す言葉の下にある、悲しみや、やるせなさとか、どうにもならなさとか、馬鹿馬鹿しさが、心情と言葉の間にぽっかりあいた虚に、よーく響くから。
『ピコーン』は泣けますな。