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ざぼんの皮 2001年 02月


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Feb.11,2001 (Sun)

北野勇作「肉食」(アンソロジー『屍者の行進(異形コレクション6)』広済堂出版(1998))

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 文句なしに上手い。これまで読んできた短編の中では出来はぴか一(「曖昧な街」も北野勇作的にはすごいが)。題材自体は北野勇作にしては珍しく、アンソロジーのテーマに沿ったグロテスク系。でも、主人公はいつもの通り、暢気でやる気がなさそうだが、どこか気持ちばかり焦って、半ば諦観しているような人。この一人称の語り口が上手〜く作用して、読者を北野勇作的展開に持ち込む。やっぱりすごいや、この人。

小林泰三「ジャンク」(アンソロジー『屍者の行進(異形コレクション6)』広済堂出版(1998))

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 実は小林泰三初体験。ガジェットを詰め込んだ前半は非常に好みで、美しい。生き物や命の機能と造形への賛美に満ちているというか、なんか妙な方向に感心してしまうほど。でも、終盤の説明は不要じゃないかなあ。一言二言で決めてくれたほうが好みだ。

映画「シネコレクション チェコアニメ特集〜パペットアニメの魅力〜」

 昨日はパルテノン多摩へ「シネコレクション チェコアニメ特集〜パペットアニメの魅力〜」を見に行った。

 ラインナップは

  • ヤロスラフ・ザフラドニーク
    • 「粘土」('72/4分)
  • ルボミール・ベネシュ/『パットとマット』
    • 「へま」('76/7分)
    • 「芝刈り機」('90/7分)
    • 「ガレージドア」('92/8分)
    • 「雨どい」('92/8分)
    • 「生け垣」('94/8分)
    • 「泥よけ」('94/8分)
  • ブジェチスラフ・ポヤル/『ぼくらと遊ぼう』(字幕)
    • 「冬眠の話」('67/13分)
    • 「ヒョウの話」('71/19分)
    • 「ビーバーの話」('72/16分)
    • 「カブの話」('73/16分)
  • ブジェチスラフ・ポヤル
    • 「飲みすぎた一杯」('53/19分)
    • 「ナイトエンジェル」('86/19分)
  • パヴェル・コウツキー
    • 「視角の外」('87/3分)

 どれもとにかく映像は素晴らしかった。動きも滑らかで、単純だけどニュアンスなんていう微妙なところまで丁寧に表現されていて。実写との合成にも目をむいたが、絵的に好きなのは、一番シンプルな『パットとマット』のシリーズか。

 『パットとマット』シリーズはストーリーもとにかく秀逸。日常の様様な難題に大工道具で立ち向かうのだが、パットとマットの型破りの創意工夫と試行錯誤で、事態は悪化するばかりというパターン。例えば「へま」。台所の水道の蛇口の角度が変になってしまい、水がどうしても流しの外に落ちる。そこで、マットは流し台を蛇口の下に移動させた。水は蛇口から流しに流れてやれやれ……と思っていると、下水のホースが外れていたので、台所は水浸しになる。そこで、台所の床にドリルで穴をあけた。すると水は床下へ流れていって一件落着……と思ったら、今度は階下に住むパットが水浸しになってマットのうちにやってきた、とか。これと同時進行で鳥が焦げたり、部屋に皿が見つからずに探し回ったりと大忙し。他にも乾燥機とモップと沢山のハサミとで自作する「芝刈り機」は傑作。芝刈り機の絵葉書があったら10枚くらい買ったのに、なかった。残念。

 このシリーズのいいところは、スラップスティックでありながら、パットとマットの工夫や失敗が、悉く物理法則に基づいた理に適ったものであるということ。てこの原理や材質の性質の問題などが自然に組み込まれていて、毎度意外ながらも納得のいく解決、失敗が繰り返される。

 そして何より重要なのは、創意工夫の楽しさが実に上手く表現されていること。自分が思いついた解決策を実際に色々と試してみる楽しさが伝わってくる。これは本当にいいアニメだと思う。こういうものを見れば、工作や大工仕事が好きな子どもが沢山育つに違いないのに。NHK辺りが買いとって全話放送してくれないかなあ。もっと見たい。

 ブジェチスラフ・ポヤル作品も凄かった。実写そのままの空間表現とスピード感に感嘆するばかり。「飲みすぎた一杯」なんて、後半ほとんどずーっとバイクが走っているだけなのだが、汽車や飛行機と競争し、挙句の果てにカーチェイスまで! タイヤが軋み、道路がうねり、風が舞い、恋人の写真が悲しく散る。どれだけの手間なんだか、想像がつかない作りこみと、スケール。空間表現も鏡を入れこませて広さを表現したり、本当に実写を忠実にミニチュア化したようなカメラワークだった。これが50年前だからなあ。

 で、同じくポヤルの「ナイトエンジェル」は実写ではなくアニメーションならではの表現を追及したような一作。事故で一時的に盲目になった青年にとって、世界は真っ暗闇。手に触れたものだけが、実体として画面にも現れる。この不安感と恐怖感の表現はすさまじいなあ。そう、盲目の人の感覚ってこのようなものなのかもしれない。

 でもポヤル『ぼくらと遊ぼう』シリーズは、字幕付きということもあってか、ちょっと展開もまどろっこしくて後半寝てしまった。勿体無いかもと思ったんだが、話としてバランスが悪いし、他の作品と比べて人形の動きも面白みが少ない。1作だけで十分という気が。

求めよ。

 帰りはせっかくなので回り道して町田に行き、ブックオフで『クラゲの海に浮かぶ舟』をゲット。やった、これで北野勇作ハードカバーは一月くらい前に手に入れた『昔、火星のあった場所』と共に、ダブルダブり! やっぱり求めれば手に入るものだ。普及に努めるぜ! とか思っていたら、早速『クラゲ』はおおたさんにもらわれていったのでした。未読で感想を上げてくれる人に差し上げるのが基本なのだが(気に入らなければ、払い戻して回収)、おおたさんは『かめくん』リンク功労者なので、文句なし。うむ、またゲットするべし。

北野勇作『クラゲの海に浮かぶ舟』ネタバレ

 覚書として。http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/book/○○.html

 ○○には、作中の固有名詞○○商店街が入ります。当然ローマ字表記で。未読の方は覗かないように。我ながら野暮なんですが、私の読み方は一般的基準(ってなんだよ)とそこまで激烈に食い違っているのか?

北野勇作『かめくん』をオススメするということ

 JUNさん(2/7)には、何かとひどい目にあわせてしまっている気がして、申し訳ないっす。む。この人の作品を理系と読むか、文系と読むかの違いが、上記『クラゲ』への考察とも関わりあっている気がする。私はそれはともかく、とにかく物語りの組み立て自体に仕掛けをし、それを文章で読者を最適な所に運ぶ人だと思っているんですけどね。

 あー、ちなみに『ワ○○○○』との比較ですが、私が損だと気にしているのは、初読時にあげた「スタイル」の問題だけです。本質的には全く別物だと思うけど、衣装が、小道具が、マイクがとかいう次元。でも、それも結構大事な気がして。

去年の俺様

Feb.12,2001 (Mon)

-1.2kg
胃散過多か消化不良か

 体調を崩した。昨日も朝1時間泳いで、夜まで軽い動悸が止まらなかったのだが、今日また泳ぎに行ったのがまずかった。30分しか泳いでいないのに、動悸が。でも商店街を歩いているうちにお腹がすいてきて(健康)、中華料理屋でタンタン麺を食べて、本を読みながらスープを飲みすぎたところに、コーヒーまでサービスしてくれて、今度は胃が重くなる〜。またもや完全に自業自得的体調不良。前回(運動はほどほどに)のこともあるのに、全然反省がない。つーか、これは胃散過多なの? それとも消化不良? 消化器系はむちゃくちゃ強いので(過信)、自分で区別がつかないのだ。

 最低限の買い物だけ済ませて、2時半に帰宅。布団にもぐりこみ、軽く読めそうな小町文雄『趣味は佃煮』光文社文庫を読む。半分くらい読んだところで、疲れたので眠ろうと思うのだが、体が冷えて眠れない。結局まんじりともしないまま、諦めて目をあけると、5時半。既に日が暮れていた……。大分楽になったけど、私の休日が。勿体無いことをした。

 しかし、胃はともかく、動悸ってのはやばい気がするなあ。でも、昨日、プールの回数券買っちゃったんだもん。11枚で3500円。あと9枚残っている。

森奈津子「語る石」(アンソロジー『屍者の行進(異形コレクション6)』広済堂出版(1998))

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 森奈津子初体験。ファンタスティックな○ース○ストーリー(というのだよね? こういうの)だった。こういう話に弱いので、タンタン麺を食べながら涙腺がゆるむ。

 でも、やっぱり終盤の説明がなあ……。

説明

 ここで思ったのだが、ここ最近「終盤の説明がなあ」とかばかり言っているなあ、私。やっぱり終わりで解説されると一気に興ざめしてしまうというところは確実にある。それが解説されてびっくりするようなものなら大歓迎なんだけど、特にそういうものではない場合は。

#「語る石」「ジャンク」にしたところで、オチで必要最低限の結論だけ言ってくれれば、あとは思い返せば推測できるという範囲内でよいのではないかなあ。過去にどういうことがあったかというようなことを説明されても。今物語から読み取れる愛の深さのインパクトさえあれば充分なのに。

 でも、多分私はオチを読んで、それまでの物語の色が変わるような展開が好きなのだ。色が変わったことで見えてくる別の物語を、自分で読み解くのがどうしようもないくらい快感だ。例えばあさりよしとお『ワッハマン』とか、コニイ『ハローサマー、グッドバイ』には、もうぞくぞく震えが来るほどの快感を感じる。

#なら、ミステリ読みになっても良さそうなものだが、なぜなんだろう?

北野勇作『クラゲの海に浮かぶ舟』の快感

 そういう意味で、私の欲求を見事に満たしてくれるのが『クラゲ』なのだ。何度も何度も読み返せば読み返すほど、つながりがはっきり見えてくる。最高の文章の上に、絶妙の構成、計算、誘導。読み解き、導き出される答えが意味する、この物語の本当の悲しみに気がついたときの感動と戦慄といったら。

 昨日のネタバレには本当に大雑把なことしか書いていないのだが、FTPしたものに試しにアクセスして、ちゃんとアクセスログが残るかを確認したら、既に1件見られていた。早すぎ。分かりやすいファイル名だと思うけど、固有名詞だから、結構ちゃんと調べないと分からないと思うのに。ロボットでもなさそうだし。まあ、本当はちゃんと読まないとわからないようなクイズ形式の名前にしたかったのだが、上手く思いつかなかったのだ。

 だけど、こういうのは本当に野暮なんだよな。自分で読み解き、気付き、確認していくように書かれているのに、その喜びを殺いでしまうようなことを書くのは反則だと思う。などということを今書いている時点でもう駄目か。

 おおたさんも書いているけど、4章「君はそのうち死ぬだろう」には、キーが沢山転がっていて、そこに正しくドミノが一つ落ちさえすれば、あとは一気に全てのドミノが倒れて、今まで見えていたのとは全く違う絵が見えてくるようになっている。この快感!! 本当によく出来た小説だと思う。北野勇作は天才だ。

 つーか、『クラゲ』でこうだと思うと、『昔、火星のあった場所』のわからなさが不可解。これもちゃんと読まなければという気にさせられる。

岡本賢一「死にマル」(アンソロジー『屍者の行進(異形コレクション6)』広済堂出版(1998))

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 この本、適当に読んでいるんだけど、どれもどれも面白い。どうしよう。

 岡本賢一は、『鍋が笑う』以来。

 これも良かった。こういう理不尽モノは大好き。オチで特に饒舌になるようなこともなかったので、最後まで楽しさを持続できたし。ちょっとクサかったけど、それもまたヨキカナ。

去年の俺様

Feb.13,2001 (Tue)

-1.8kg
帰省

 部屋に帰ると、実家からファックスが。

 「インターネットが接続できません。今度の休みに帰って来て下さい。」

 オーマイガー。

 結局、電話サポートで、Web(最初から外部ファイルを閲覧していたのに、気付かなかったらしい)と、メールの送信はできたのだが、受信だけができない。まあ、そこは明日サポートに問い合わせてもらうことにしたのだが、プロバイダのWebサイトに設定の方法がまるで書いていないのが困りもの。

北野勇作『かめくん』

 bk1のSFコーナーランキング(2/5〜2/11)で、『かめくん』は5位をキープ。やった。いまだに24時間出荷なのは、売れていないからというわけではないんですね(^^;>森山さん

 見える範囲で、おおたさんのリンク集くらい流行っているというのは大きなことだと思うんだけど、ライトノベル関係の感想が全く釣れないのは、単に探す経路が間違っているだけなんだろうか。

 それでもとにかく、流行っているぞ。幅広くかどうかは分からないけど、今週のランキングも『ブギーポップ』よりも上だし……というのは単に徳間デュアルが一般書店で手に入りにくいからとか、そういう理由なんだろうけど、でも、これって『かめくん』の流行り方とパラレルな事象だと思うんだけど、どうだろう。いや見え方がね。

北野勇作『クラゲの海に浮かぶ舟』の穴

 そこに穴があるから、人は覗くわけだ。その穴が著者が読者を覗くよう誘導するためにあけた穴なのか、著者が埋め忘れたところにたまたまあいた穴なのか、掘り損ねなのかは、覗くまでは分からない。

 著者がわざと作った穴であれば、読者は覗くべきだろうと思うのは、私にとって、著者が伝えんとするところを受け取ろうとすることが、一番効率よく楽しめる読書の方法だからだ。だから穴は覗く。

 そもそも、最初から欠落と決め付けて覗かないというのは、作品に対して非常に失礼だと思うんだよな。掘り損ねか、欠落か、切り捨ててしまうのは。だから覗く。覗いた結果、それが本当に単なる欠落や掘り損ねでしかなかったのなら、いくらでも指摘すればいい(:=>行間と欠落)。あくまでも、覗いてからだ。でも、著者が読者のために掘った穴であれば、喜んで著者が導くところへ行こう。たとえミスリーディングであっても、大歓迎、望むところだ。喜んで引っかかりましょう。覗かない限り、決して何かを得られることはないのだから。

 なのに、覗く行為そのものを否定されちゃあ、落胆するしかない。最初から欠落だと、覗くもんじゃないと、否定しているのかな。雰囲気だけで楽しめる、それは事実だと思う。雰囲気をこそ、楽しみたい、それもいいと思う。でも、穴を覗くことを揶揄しなくてもいいんじゃないか。どうして?

 一見、地面が見えなくなるくらい穴だらけな小説なのかもしれない。でも、そうじゃない。その穴という穴全てに、著者の意図が込められている。どの穴でもいい、目を見開いたまま飛び込み、落ちろ。そうすれば、答えが見える。何も難しいことじゃない。

 そして、この小説はそういう風にできている。きちんと著者が読者のために穴を掘って、導いてくれている。どこへでも足を踏み出せばいい。それだけでいい。何しろ、この小説は全て穴なのだから。穴しかないのだから。それも丁寧に丁寧に掘られた美しい穴。

 小説を読むときに、物語を読まず、自らのうちに起こるイメージの媒体として利用するというのもありなのかもな、とも思う。でも、私には出来そうにないなあ、こういう読み方しか出来ないから。頭固いから。

去年の俺様

Feb.14,2001 (Wed)

-2.4kg

 最低記録更新。うーん、今使っているのは『竹内富貴子のワンポイント・ダイエット─何度チャレンジしても失敗するあなたに』なのだが、これが量が少なくて(竹内冨貴子(ふの部首はどっちだ!?)のレシピはおいしいけど、少ない)、朝と夕はそれでもよくても、昼飯だけは弁当箱につめなきゃならないので、とにかく体積が重要になってくるのだ。あと種類が。私のお弁当箱は上下2段で500mlくらい。しきり方によって2〜4種類のものがつめられるのだが、やっぱり上下1メニューずつというのはしまりがないので、結構足してしまったりするわけですよ。もやしのナムルとか、ゆで茄子とか、すぐに作れて、カロリーが少なめで、その後のメニューに影響が出なくて、コストがかからないもの。なので、レシピ(1400kcal)以上に食べているはず。

 とかまあいっているけど、短期的な体重の増減というのは、便通がどのくらいあるかということに左右されるところが大きくて(尾篭な話でスマンノ)、私は基本的に毎日お通じがあるんだが便秘気味。今日はお通じがあったけど、やっぱり便秘気味の日なのだ。量的に。

 それでも減るのはここ2日歩いているせいか。うん、やっぱり歩かないと。今日は帰りにウォーキングのおばさんと同方向になってしまって、ついていくのも気まずいし、抜くに抜けず、ちょっと参った。ペースが大事なのに!(揺れるとしんどい) とほほ。

北野勇作『かめくん』の売れ行き

 おお、やっぱり大量入荷!なんだ。それは嬉しい(^^)。「札を立てるくらい」というなら、是非、ポップを作ってくださいよ! 北野勇作インタビューとか(きゃっ……、って、インタビューはあんまり欲しくないなあ。『かめくん』が1冊あれば充分伝わるから)。ま、とりあえず書評も投稿しなきゃ。客のポップを立たせてくれる店、なわけだし。

 それに、文庫週間ベスト10(2/5〜2/11)でも、4位だ!! やっぱりこういう数字って重要ですよ! ええ。この勢いで、お願いですから『クラゲの海に浮かぶ舟』を出してください……。本当に、傑作なんですから! オールタイムベスト3に入るぞ。

 とかまあ、手に入らない本の話は置いておいて、せめて短編だけでも読めるアンソロジーをあげてみた。

 異形コレクションばっかりだけど、結構これも24時間出荷だなあ。

 ああ、しかし、やっぱり単行本を復刊してほしいっ。

北野勇作『クラゲの海に浮かぶ舟』

 ……、い、いかん、また再読しかけてしまった。おかげで、今読んでいる本が全然進まない。

 おおたさんが「エウレカ!」と叫んでいる

 うん、確かにこの小説はわかりにくい。そこがいいんだよなあ。真面目な話。

 はっきり言って、書かれていることは全くつじつまが合わないことばかり。「あ、この話はさっきのあの話とつながるんだ」と思ったとたん、くるんとはぐらかされる。「えー、じゃあ、あの話はどこへ行ったの。この人は誰?」と叫んでも、答えは返ってこない。

 しかし、大切なのは、答えが返ってこないからといって、その疑問を捨ててはいけないということだ。目をつぶって見ないふりをしてはならない。こういうものだと切り捨てるなんてもってのほか。その疑問こそが重要なのだ。疑問の内容じゃなくて、疑問を抱きつづけるという行為そのものが。

 疑問を抱かないところに答えはないんですよ。結び目のない紐が解かれることはない。

 そしてその疑問は解けるんです。一つ解けたが最後、全ての疑問が、一気に。そういうふうに書かれている。

 この疑問が一気にばたんばたんと解けるときのトロケルような快感は「わかりにくい」からこそ成立するものなんですよ! 脳内麻薬出っ放しになります。

 まあ、騙されたと思って読んでみてくださいよ。

 付箋はあったほうが便利なのかもしれませんが(何かにつけ)、私はぼーっと読み下すだけの人なので(あとから、あの台詞どこだっけ?と読みなおしたりはしょっちゅうだけど)、そういう付箋を貼ったり、しおりを複数使ったり、メモを取ったりという習慣がないのでした。脳内に疑問を(全部と言わないまでも、いくつか)蓄積しさえすれば、どこかで合致するピースにぶつかるので、あとは大雪崩で解決でしょう。

 あと、昨日の「小説を読むときに、物語を読まず、自らのうちに起こるイメージの媒体として利用する」は、「媒体」じゃなくて「触媒」でした。うぎゃ、恥ずかしい。全然意味が違うやん。

去年の俺様

Feb.15,2001 (Thu)

-2.6kg

 ……最低記録をあっさり更新(^^;。今日も歩いた歩いた。

北野勇作「螺旋階段」(アンソロジー『グランドホテル(異形コレクション9)』広済堂出版(1999))

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 いきなり、「おりしも街はバレンタインデー。」とくる。しまった、昨日読むべきものだったのか!? 一日遅かった、くそ。

 で、内容はいい感じ。文体は珍しく三人称で(一人称的だけど)、しかも、乾いていて、硬い。ただ、酩酊感と既視感を書かせたら天下一品なのはいつもの通り。さらに今回は手すりのない螺旋階段という眩暈持ちにはたまらないプレッシャー付き。

 私はホラーには疎いのでよく分からんが、やっぱりきっちりぞっとしたので、これはいいホラーなのではなかろうか。上手いなあ、やっぱり。

 ただ、映画のタイトルが「グランドホテル」になっていて、これって『らくごのご』でお題の行方が見つからずに無理やり固有名詞にしちゃうみたいで変だなあ、名前をつけずにただのホテルでいいのに、と思っていたら、こういう趣向だったのね。バレンタインも。そうか、これは頭から読まなければならない本だったのか? しまった。

 これはオススメ。

北野勇作『クラゲの海に浮かぶ舟』

 ……結局再読中。取りつかれたように昼休みから読む読む。

 しかし、読めば読むほど新たな発見はあって、さすがに三読目ともなると、結構視界はすっきりしてくる。「ああ、この一言は……」といちいち脳みそに刻みつけながら読み進む。うーん、私の頭の中にまでクラゲがつまって、迷路ができそうだよ。

 この感覚がたまらんのだがのう。いい小説だ。

 しかし、自分の感想を読み返すとアレだな、初読半年後にこんなことを言っておったか。ふむ。

amazon.co.jpで本を買う

 何を血迷ったか、Lois Bujold『Brothers in Arms』Michael Hanson (ナレーション), Carol Cowan (ナレーション) 6,306円。ビジョルド『親愛なるクローン』のカセットブック版。ふっふっふ。男女の朗読なんだろうか。

 他にも『Falling Free』とか、『Barrayar』とか、『Ethan of Athos』もあって、こちらのほうが2千円くらい安いんだが(『バラヤー』は6千円台か)、見事にマイルズ物でないんだよな、これが。それに、『クローン』は日付(発行の?)が2000/12となっていて、確実に手に入りそうだからねえ。

 合わせて、ペーパーバック版『Brothers in Arms』665円。スカイソフトのほうが2円安かったんだけど、そっちはカセットないからなあ。

 それより、『CETAGANDA』さっさと読めよ>私。

去年の俺様

Feb.16,2001 (Fri)

-2.6kg

 歩いていこうと思ったら、鍵が見つからず、結局自転車。また来週、歩きを維持しなければ。

北野勇作『クラゲの海に浮かぶ舟』付箋紙

=>北野勇作関連トピック

 まあ、何度か読んだ(であろう)人でさえ、「つじつまがあう」と言われても容易に信じられないくらい、これは一見つじつまがあわない、プロットのない小説に見えると言うことなのかもしれない。

 というのは、いささか短絡的な言い方で、本当のところは、読み手としての私の言葉がいかに信用されていなかったか、だろうな。愕然とするね。まー、そんなもん? 日ごろの行い? つじつまをあわせようとして読んでいるわけでも、粗探しをしようとして読んでいるわけでもない。自ずと物語りは見出されるのだ。いくらそう繰り返そうとも、聞き入れられない。挙句、最悪の読み手呼ばわりだし。はあ。

 でも、最悪の読み手と言われようと、何と言われようとも、この小説を読む上で最も大切なのは、しっかり目を見開いて、流れていく物事を網膜に焼き付けることだということは、何度でも言おう。何度言っても信用されないらしいから。騙されたと思って、信じてください。お願いします。そうすれば、プロットやストーリーがやがて見えてくるのだから。この瞬間が物凄く感動的。どこで糸口を見つけるかは、人それぞれだと思うし、SFをある程度読みなれていないと、厳しいかもしれない。だからこそ、その見事な物語の変貌振りには、文字通り圧倒される。これが最悪の読み方なのであれば、私は最悪の読み手という称号も甘んじて受け入れよう。どう?

 私にとって最悪なのは、最初からプロットを読むことを拒否するような読み方である。それだけは、するな。

 というわけで、最悪の読み手なら最悪の読み手らしく、付箋紙を片手に読み始めた……というのは大嘘。いくら私でも、そこまで嫌味ではない。昼休み、弁当を食べながら「おおっ!」と思ったら、ちょうど(会社だし)付箋紙があったまでのこと。一つは、クラゲが部屋の掃除を始めるところ(号泣物)、二つ目は56ページ。これ、ものすごいなあ、特に56ページ。すごいよ、北野勇作。

 さ、どんどん読み進めよう。

 そう言えば、復刊ドットコム『クラゲの海に浮かぶ舟』の投票も増えていて、2001年02月16日カガミコさんのコメントが楽しいなあなどと暢気に読んでいたんだが、『クラゲ』の表紙絵を書いている森川弘子ってのは、e-novels北野勇作特集で、「夫について」を書いている方と、同姓同名なんですが、って、こんなことに気がつくのは今更ですか?(^^;

 それはそうと、この表紙、地味なんだが、実に上手く内容を暗示していて、見ているだけで、泣けてくる。【ヒトリガサミシイノネワタシタチハタクサンイルノニヒトリデイルノガサミシイノネ】……みたいな。『エヴァ』って便利。

去年の俺様

Feb.18,2001 (Sun)

-2.6kg
牡蠣食えば

 金がなくなる、とりあえず。一食4400円は高かった(T-T)。いやあ、おいしかったけど。掌ほどもある外国産の生牡蠣(名前忘れた)が1杯340円というのは、高いんだか安いんだか。大きいとは言え、2口だからなあ。しかも、ほとんど臭みがなくて、ちゅるんといただけちゃう。結局生牡蠣は4杯食べたのかな。クマモトとかいう豪州産の牡蠣(300円)が小さいけど、牡蠣らしい味がして美味かった。

 あと、牡蠣の石焼ビビンバ(1800円)と、グリーンサラダ(900円)と、ムール貝のガーリック炒め(950円)と、蟹味噌のペンネ(1200円)。どれもうまうま。特にビビンバが、もうちょっと大きなのを頼めば良かったかもと思ったくらい。でも、全部食べたら、お腹はいっぱいになった。当たり前か。

 また来たいんだけど、高いからなあ。単価が大きいので、大勢で来た所で、安くもならないしなあ。ビビンバだけ食べるのでもいい気もするけど。

北野勇作「シズカの海」(アンソロジー『月の物語(異形コレクション8)』廣済堂文庫(1999))

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e-NOVELSで購入可能

 『かめくん』でも描かれていた、昔夢見た未来の記憶へのオマージュ的な作品か。アポロが月にたどり着き、大阪に万博がやってきたころ、未来は、何もかもが可能になる世界だと思っていた……。

 私はこの短編のネタバレをどこかで目にしていて(恐らくは、自業自得。覚えてないけど)、知らなかったら、ものすごい衝撃を受けたに違いないのに、惜しいことをした。やっぱりネタバレは見ないように、書かないようにしなければ。

 いやあ、しかしそういうことやるか!?的なネタを、これだけきれいにまとめてしまう手腕はすごいなあ。物語中の夢と記憶と現実と過去と未来とをぐろんぐろんにかきまぜるのは、この人の常套だと思うけど、今回の物語の場合、夢は読者の中にある。わはは。

北野勇作『クラゲの海に浮かぶ舟』ネタバレ

もちろんだよ。
偶然じゃそんなのは無理だ。
ご都合主義だと批判されても仕方がない。
でも、はじめからそんなふうにする目的で全部が作られてたとしたら?

 付箋を貼りながら小説を読むというのは、初めての体験だったんだが、ものすごく分かりやすくなるものだ。びっくり。3読目ということもあるだろうけれども、それまで気がつかなかったような細かい伏線も沢山見えてきて、いかにこれが丁寧に作られた小説なのかに感動する。

 今まで、てっきりフローチャートは書けないものだと思っていたのだが、実際はちゃんと書ける【大本の記憶は駄目だけど】。んだけど、そもそもが複雑過ぎて複雑過ぎて、中途半端で挫折。それがこれだけ分かりやすい形で小説になっているんだもんなあ。読めば読むほど、すごいSF。

 なのに、『SFが読みたい! 2001年版』の90年代ベストには触れられてもいなかったりするのが、残念。それとも見逃しただけか?

川島誠とビートルズ

 久々に書店の雑誌の棚を覗いたら、『鳩よ!』がいつのまにかA5になっていた……って、遅すぎですか。もう何年か読んでいないような気がするんだけど、なぜだろう。川崎に住んでいたころは、通り道に書店があったから、か。

 んで、ビートルズ特集か何かに川島誠もエッセイを寄せていたんだが、私自身がビートルズにあまり興味がなく、急いでいたこともあって、読まずにスルーしてしまった。む。でも、次のページに書いていたのが、二宮由紀子ってのもすごいな。

 というわけで、二日連続夫婦ネタでした。

去年の俺様

Feb.19,2001 (Mon)

-2.4kg

 いかん、また自転車になってしまった。今夜は『平成日本のよふけ』をタイマー録画して、明日こそ歩こう。

北野勇作『かめくん』書評

 ケダさんの日記で、日曜日の日経新聞に『かめくん』の書評が掲載されていると知り、会社で見てみた。一般紙のジャンル外書評を読める!と思っていたので、小谷真理の持ち枠での紹介ではいささか(勝手に)期待外れだったものの、やっぱり嬉しいのだった。これで、一人でも二人でもこの本を手にとってくれる人が増えるといいなあ。

 それ以上に、北野さんの近況によると、なんか今後も期待できそうで、これもまたさらにさらに嬉しい。

アンソロジー『日本SFの大逆襲!』徳間書店

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 山田正紀「乾いた犬の街」、かんべむさし「蛸の街」、椎名誠「水域」を読んだのだが、どれも今一つ。

 「水域」は何事かが起こりそうな(起こっている?)気配がどろどろと続く雰囲気が好きなのだが、最後まで読んでも「?」しか残らない。これって、連作短編か何かの1作なの? と思って調べてみたら、この本で出典とされている『ねじのかいてん』以外に、ちゃんと『水域』という文庫本があった。なんのこっちゃ。うーん。気になるので、『水域』はそのうち読んでみよう。椎名誠は読んだことがないし。

 山田正紀は、『宝石泥棒』を読んだ時にも思ったのだが、やっぱり合わないみたい。とりあえず恋愛観とか男女観が私には多分駄目で、ここのところ男臭い本から離れていたこともあろうが、読んでいる間、身の置き所がなく、物語にも何の感慨も得られなかった。とほほ。

 かんべむさしは初読。法螺話なのだろうが、この法螺も蛸もあまり魅力的に感じられない……。うーん、残念。

 こうしてみると、やっぱり1冊ごとにテーマが決まっている『異形コレクション』の方が読みやすいかも。アンソロジー初心者だし。

トピック一覧

 確かにうちのトピック一覧すごいことになっていますが(^^;、私のマークのつけ方もいい加減なので、仕方がないという気が。希望を言えば、項目ごとに単純なソートができれば嬉しいんですが……。風野先生のところみたいに。

 って、こういうことも言っているだけではなく、ちゃちゃっと自分でやってみたかったので、『Rubyプログラミング入門』を買ったはずなのに、年末、練習問題で躓いてから放ったらかしなのだった。うーん(T-T)。

去年の俺様

Feb.20,2001 (Tue)

-2.4kg

 今日も自転車。

北野勇作『かめくん』
北野勇作『昔、火星のあった場所』

 くろたきさんの日記(2/5)に、『昔、火星のあった場所』が「確率の海に沈んだ火星を、量子力学のザルですくいあげよう」という話だと書いてあったり。おお、なんかぐっと来たんだけど、やっぱり私には難しすぎると言うことなのかも。そしてラストは謎なのか(=>私の再読時の感想)。むー。

連絡

 メンテが終わったはずなのに、メールが受信できません(T-T)。ブラウザからしか見れないので、明日までは使い物にならないかもです>関係者各位。送信は出来るみたいですが。

 つーか、ダイアルアップしたらちゃんと受信できるらしい……。HI-HOでダイアルアップしている人ってどのくらいいるんだろう? 私はケーブル接続で、200円のコース。

去年の俺様
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