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ざぼんの皮 2000年 05月


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May.22,2000 (Mon)

池上永一『レキオス』ゲット

 土曜日。せっかく新刊で本を買うんだからということで、町の書店で買おうと思い立ち、図書券を持って、商店街をはしご。文芸春秋というメジャーな出版社の、落ちたとは言え前作は直木賞候補にも挙がった作家の新刊、なんだけれども、予価2,286円のハードカバーでは置いているところはないのだった。まあ、予想通り、なんだけれども。で、5、6軒回って振られた挙げ句、やっと無茶苦茶意外な場所で出会ったんだが。……言うまい。

 今までの単行本の雰囲気とは打って変わって、重厚そうな表紙。ニムさんによると、M16星雲だとか。あ、本当だ。岸壁か何かかと思ってしまった(--;。

 中身は502ページもあるのに、一段組。しかも値段が予価より安い!! 2,000円だよ!! 帯も今サミットで話題の沖縄を前面に押し出している。売ろう売ろうといういじらしい心意気が全面に表れている本である。今度こそ直木賞を狙っているのか(嘘)!!

 読み始めてみると、基地、混血、戦争等の重苦しい単語が続くなあと思いきや、冒頭からいきなり宙を逆さ釣りで飛ぶ鼻なし女が、米軍のヘリコプターを髪の毛で落としたりしている。さすがは池上永一だ。

 というわけで、しばらく、これ。

殊能将之『美濃牛』講談社ノベルス

 月曜返却必須本にもかかわらず、金曜日の時点で、まだ半分以上残っていた。週末もまともに時間がなくて読み進めず、結局昨夜珍しくベッド脇にスタンドを持ち込んで、午前1時までかかって読了。

 周囲では賛否両論で結構分かれていた。読み進めている途中は、面白いと思っていたんだけれども、読みおわってみると、どちらかというと否かも。これ、殺人事件がない方が面白かったと思う。実も蓋もないけど。

 途中は非常に楽しかった。石動の音楽系の蘊蓄(内容については暗いのでよくわからないが、町田・天瀬との噛み合わないやり取りの描写が良い)、句会の様子、村長と出羽の力関係、保龍という人物の造形などなど。でも、それらが最後に収斂するということがなく、散漫なまま終わってしまい、期待していたカタルシスが得られなかったというか、はぐらかされたような印象。

 いや、何でもかんでも収斂すればいいというものではないんだが、サイドストーリーの灰汁が強すぎて、メインであるはずの猟奇連続殺人事件が霞んでしまっているような気がするのだ。周りの面白すぎるキャラクターに比べて、3兄弟が全然面白くない(ちょっとえぐいけど)のが痛い。謎やトリックも、「ほうほう」と読み流すだけになってしまった。それから、【窓音って、キャラは一体……。うーん。変に印象が強すぎるのが気になる。かといって、ミスリードさせるための書き方でもなし。視点がずらされるだけの効果はあって、全然名探偵誕生にも感慨が抱けなかったのだが、これは狙いなんだろうか?

 上手いのはわかるし、確かに読んでいて楽しかった。一つ一つの話が、なるほど面白い。でも、全体としてはどうなんだろうという印象。つーか、読み終わって、残るこの不思議な空しさはなんだろう……(^^;。

クリスマス(秋山瑞人『猫の地球儀』)

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 一歩さん(5/20)の言う、(5)(6)で、私は引っ掛かっているんだと思います。

 "ロボ萌え=SF属性向け"と"「男の子だったら口喧嘩で勝つんじゃなくってゲンコで勝つんです。」=極端な男の子属性向け"が、そのままでは私の中で対立してしまう。ので、後者とバランスを取るために、"ロボ少女萌え"概念をくっつけたがっているみたいです<私の思考。

 どうも私は融通が利かなくて、自分が読んでいながら、作者が読者を導こうとしているベクトルを探す癖がある。そいつに振り回されている感はあるのですが、うーん、考えすぎなのか。確かにヒゲ書くシーンはカッコイイもんな。うーん、でもやっぱりノートパソコンで殴り合いは、変すぎてイヤン。バランス悪いよう。

 他の秋山本も読んでみますことよ。ええ。

DASACONというレッテル

 率直なご意見どうもありがとうございます、みのうらさん(5/18)。いやもう、まさに、そのとおりだと思います(^^;。でもまあ、DASACON内部的には『もてない男』論争を大真面目に(?)やるイベントでいいと思っていますので、これからもこんな感じで行くでしょう。

 DASACON=第三勢力コンベンションという、こちら側にとっては単なるおふざけのネーミングが、外部の警戒心(?)を煽り、小浜さんの発言(期待と、その裏返しにある不満?)を招いた一因であろうとは思っています。今回は、そのイメージが、本来はDASACONというイベントとはパラレルであるはずの「ダサコン勢」にまで影響を及ぼし、好む好まざるに拘わらず、外部の方々に結びついているという印象を与えてしまったということもあるわけで、やっぱり申し訳なく思うわけです。不幸な出会いに荷担してしまった、というような。温度差の持込も確かにあったということ以上に、それを気にしてしまう。。

 いやしかし、伝えたいことを、その意図が相手に伝わるように、受け入れられるように書くことは、重要ですよ。そういうふうに書かなきゃ意味ないやん、と思うんですが、うーん。

 とか書いていたら有里さん(5/22)の方にもあがったので。おっしゃる通り、「DASACONだから」は良い意味でのみ、使いたいです。不満があれば、なるべく対応していきたいし、そういう率直な意見は非常に有り難いものとして受け止めます。やぱし、率直なコミニュケーションが重要だと、ここでも思う。幸い、DASACONの場合は、基本的には参加者とスタッフが簡単に意見交換を行える媒体を持っているはずなので、そこは活かせるんじゃないだろうか。

 あと、Arteさん(5/20)、すみません、一応リンクをはずしました。「誰もがちはらさんのように、集団の中ではきはきとしゃべれるわけではないのだ。それは知識がなく話に口を挟めないためでもあり、口を挟む勇気がないためでもあり、話の方向を変えてしまうのではないかと恐れるためにタイミングを計っているうちに機会を逸してしまうからでもある。」というのを読んで、自分的には聴いているだけで面白いと思うことはよくあるし、知らないから聴きに行くということもあるよなぁというような意味で、あのようにリンクしてしまいました。それでも結構発言していたような気はするけれども。起き抜けに、同室の方に『ハイペリオン』の読み方について教えてもらったのは、セミナーだったような気がする。'97年、かな?

去年の俺様

May.25,2000 (Thu)

池上永一『レキオス』

 あいかわらずオバアはいいんだが、これまでの池上永一からは想像もつかないくらい、死ぬ死ぬ。でも、やっぱり高橋留美子なのだった。

 今日で、半分まで。自分にしては、かなりのハイペース。ニムさんはもう読み終わったみたいだけど……。

DASACONとセミナー

 ここと、ここで発言。かもですなあ、って俺、やっぱり癒し系かい(泣)。でも、掲示板に一度投稿した記事は書き換えられないのだった。むーん。ということで、ちゃんと見るように。関係者!!

 いやもう、みのうらさんには色々と気を使って頂いていたようで、すみません。

 はっきり言えよって要求は、暗に相手に「あんたが悪者になれ!」って要求になる時もあるのです。というのは、その通りですな。自分でも、もめること覚悟で行くようなことはほとんどなく、そのあたりのバランスを取りながら取りながら何とか伝えようとするか、まるっきりだんまりを決め込むかです。で、後者の方が多いので(私はまめではないので)、あのような書き方になりました。というか、私が鈍感なので、言ってもらわんとわからんじゃん!とか、反応してみたら別の人宛てだったということがままあるので、まあ、これも甘えですな。

 色々と精進します。ありがとうございました。

マーフィーの法則

 今日やっと給料日。色々と今月は出費がかさんだだけに、久々に辛い月末だった。まず、シャンプーが切れた。米が切れた。リンスも切れた。洗剤が切れた。洗顔量も切れた。夜塗る乳液も切れた。台所洗剤も切れた。冷凍食品が切れた。肉も切れた。電球も切れた。コーヒーも切れた。ここ10日で。苦しかった〜(;_;)。でも、いきなり給料日から出費が……。どうしてこうなるかなあ。

去年の俺様

May.28,2000 (Sun)

池上永一『レキオス』文芸春秋(2000)

 =>bk1で『レキオス』を購入

=>池上永一関連
 一気読みしたければ、日曜日の昼間に、髪を切りに行けばよろしい。たっぷり2時間読書できる。『フィアサム・エンジン』も、そうやって読んだしね。というわけで、『レキオス』読了。

 短すぎる、というのが読後第一の印象。せめてこの倍の分量はほしかった。『風車祭』は石垣島だけを舞台にした人間と化物の恋愛喜劇で、2段組536ページだったが、これは沖縄、米軍、CIA(?)、GAOTU、中共、キリスト教、ユタ、ノロ、天才、変態が入り乱れての世紀を股に掛けた大陰謀物で、1段組501ページ。短すぎたんじゃないかなあ。

 キャラクターは相変わらず高橋留美子だ。今回のキモは、何と言ってもサマンサ・オルレンショー博士だろう。天才人類学者でありながら、超美人、さらにド変態。奇抜なファッションや行動で、米軍軍人(にも問題ありだけど)すらひるませて、手玉に取る実益もあるが、本人にとっては単なる趣味で、ナチュラルに変態なだけなのだ。澤井健『イオナ』のイオナを、50倍くらいパワフルに無節操にした感じか。また、強大な"セヂ"の持ち主でもある。

 セヂとは、運とか、霊力とか、命の力とか、そういうものの源となるものであるらしい。セヂは生まれながらに分け前が決まっていて、それを開花させるかどうかは本人次第である。そのセヂの力によって、ユタやノロは祈りや占いをし、天才は研究し、自らに向かって飛ぶ弾丸からも身を守ることができる。

 物語は、少女デニスが、軍用ヘリを髪の毛で落とす亡霊女に憑依されるところから始まる。白人と沖縄人の混血の母を持ち、実の父親は黒人であるデニスは、褐色の肌を持つ"アメラジアン"だ。母は再婚相手の白人米軍人と共にアメリカにおり、彼女は沖縄で祖母と共に住み、日本の高校に通っている。実の父とは会ったことがない。そんな彼女と友人たちをとりまく「沖縄」の複雑な問題が絡んだ前半から、スパイが暗躍する中盤を経て、後半は……『ドラゴンボール』??? やっぱり池上永一って、漫画を想起させるんだよなあ。誉めているんだけど、勿論!!

 文章の圧倒的な上手さ、テンポの良さに支えられ、元気玉合戦と化した後半の畳み掛ける展開はさすがだと思う。でも、妙なところで空回りしているような感を受けたのは、やっぱり短いからじゃないかなあ。やたらとコミカルでウカツ君なスパイと軍人たちで、読む人によっては、興ざめさせてしまうかもしれない。それを補ってあまりあるほどの、キャラクターごとの書き込みが、もうちょっと欲しかった。池上永一の長篇は、そのニオイにむせ返り、げっぷさせるくらいの分量があってこそ、だと思う。『風車祭』の、あの圧迫感を伴う暑苦しい分量には、必然性があるのだ。
#それでいて、短篇も書けてしまうのが、凄いところだ。

 『レキオス』も十分に楽しめたし、及第点だとは思うのだが、有里さんの日記で『風車祭』でも大幅に削ったと触れられていたこともあって、もっと読みたいよ、勿体無いようと叫んでしまう。く、食い足りない。私にもっと池上を!!

 今回のベストおばぁ賞は、やっぱりユタのおばぁ……なんだけど、ポーポー売りの「お祝いだからねー」姉妹がもう、無茶苦茶好き。こういうキャラクターの使い方がいい。それにしても、キャラダインって、ひとかけらも可愛げのない奴だったなあ。

 森山さんによる『レキオス』表紙のM16星雲に関するありがたい解説。星が生まれるところの写真だそうで、確かにこれが何であるかを知っているのといないとでは、大違いだわ。ありがとうございます。言うに事欠いて、岸壁か何かだもんなあ。

 それからもう一つ。ちょうどこの本を買った時期に、会社で担当している読売新聞に沖縄の子供たちの特集がなければ、"アメラジアン"を池上永一の造語か何かだと思っていたに違いない(しおしお)。所詮はミーハー……。

去年の俺様

May.29,2000 (Mon)

三田村信行『おとうさんがいっぱい』理論社フォア文庫(1988/初版1975)

 なんか知らんが、溝口さんからお勧めされたので読んでみた。フォア文庫を読むのは何年ぶりだろう。行き帰りの電車で半分まで読めてしまったので、部屋でそのまま読了。夕食に食べた卵入りグリーンカレー(無印キット)の影響か、胃もたれした。

 「ゆめであいましょう」「どこへもゆけない道」「ぼくは五階で」「おとうさんがいっぱい」「かべは知っていた」の5編からなる短篇集。内容は、全てホラー。しかも、同じパターンの不条理物。確かに子供の頃に読んでいたら、激しく心に焼き付いたでありましょう。

 概ね、悪夢の再現といった感じか。古き良きジュブナイルの匂いがする。唯一無二だと思っていた存在が、それと全く同じ物の出現によって、世界ごと根底から壊れていく物語。それは、あるときは自分であったり、父であったり、家であったり、家族であったりする。

 どこまで行っても辿り着けない我が家、同じ道を歩いていたはずなのに、あるべきところに家がない。やっと見つけた家の中には、台所にぶよぶよのゼリー状の生物。学校から帰ってきて、遊びにいこうとしてドアを開けると、ドアの向こうも自分が今出て来た部屋がある。隣の家に逃れても、ベランダから階下に降りても、外に出られない。土曜日家でくつろいでいると、お父さんが仕事から帰ってきた。お父さんは既にここにいるのに。ぼくの家には3人のお父さん。町は多すぎるお父さんで溢れかえっている。

 表題作「おとうさんがいっぱい」が好みかなあ。行間から垣間見える、書かれていないところで行なわれているであろうことへの恐怖。はあ、よくできたホラーだ。

 お薦め頂き、ありがとうございました>溝口さんm(__)m。

川島誠は恐い

 でも、多分溝口さんは、私が川島誠の話ばかり書いているので、「怖い児童書」繋がりで薦めてくださったんだろうが、うーん、傾向が違いすぎる。『おとうさんがいっぱい』不条理ってことで、逃げられるかなあ。

 川島誠「幸福とは撃ち終わったばかりのまだ熱い銃」とか、「ぼく歯医者になんかならないよ」の怖さは、逃れられない状況や衝動から逃れるために、自らの手で顔面を切り裂くような恐ろしさ。そうせずにはいられない切迫感。一生残る傷を刻印することによって、ありとあらゆ外部との接触を断つ。責めもないかわりに、救いも得られない世界を目指して、すすんで崖から飛び降りる。それは刹那的な逃げに過ぎず、むしろ取り返しのつかないことであるとは判っているのに、踏み出さずにはいられない。

 もし、自分にあとほんのちょっとの勇気や才能や努力や元気がありさえすれば、変えられた未来かもしれない。でも、そうしなかった。そんな力は既に残っていなかった。むしろ、望んで、顔に刃をあてたのだ。それができうる最後の抵抗だった。そして、鏡を見ては傷の存在を確認し、また一つ逃れられない責めが刻印されたことを知る。それもこれも、自分でなしたのだということを確認する。あの時の、暗い悦びを思い出す。そういう恐怖。ああ、復刊されないかなあ、『電話がなっている』。

去年の俺様

May.30,2000 (Tue)

ラジオドラマ『二の悲劇』法月綸太郎原作

 キャストがみんなとても(場違いに)嬉しそうに喋るところが、二時間ドラマっぽいチープさを感じさせる。特に法月綸太郎。

 ここ数ヶ月SF偏重傾向だったところに、赤川次郎『魔女たちのたそがれ』、石田衣良『エンジェル』と、ミステリー系が続いているんだが、なぜかちゃんとおちまで聞けないんだよなあ。このコンポ、どんなに音量あげるよう設定しても、タイマー録音時に無音で立ち上がっちゃうのがネック。これさえクリアできれば、強制的に毎晩聞く羽目にできるのに。

 ま、いいや。今週は頑張って聞いてみよう。

川島誠と800メートル

 アクセス解析が、Yahoo!掲示板の「陸上競技:800Mの掲示板」というのを拾った。152 川島誠のファンページ?というところからリンクされている。そうはおっしゃいますが、初刷りから6年経って2刷りってのはすごいことなんですよ!! 今時、映画化(酷)はしたもののとんと売れなかったようなマイナー作家、初刷りで終わって当たり前、なんですから。しかもその間品切れしていたような感触はない(笑)。これがどういうことを意味するのか!?

 それはともかくとして、うーん、そろそろメンテナンスちゃんとしなくちゃ。新刊には間に合わせないと。とか思いながら、メッセージをぼつぼつと拾い読み。川島誠『800』を再読するような気分を味わえた。じゃない、逆か。

 と思ったら、この掲示板の立ち上がりのメッセージも、川島誠じゃん。でも、よく見ると、上のメッセージと投稿した人は同じだった。

 とりあえず、今流行の復刊ドットコムに、『電話がなっている』をリクエスト。無理無駄?(;_;)ノ。コメントには、かなり我ながらイヤ〜ンなことを書いてみた。かもしれないけど、基本的には私が読みたいだけ、手に入れたいだけ。質が高いから、広く知ってもらいたいだけ。自分に子供がいたとして、進んで読ませるかっつーと、「否」だもんね〜。自発的に読む分には、何ら構わんと思うが、親が薦めちゃいけない類の本のような気がする。そこに存在価値があるんだけど。でも、児童書の金を出すのは親なんだよね(^^;とか。構造的に絶対に売れない本なんだよな。私のようなメタ読み好事家になら、バカウケするだろうけど、そうなると、親が買ってくれなくなって、本当に必要としている子供の手には届かなくなってしまう。この本で、悪夢に叩き落とされる子供もいれば、救われる子供もいると思うし、そういうインパクトを与えられる本だと思うのだ。是非、復刊してほしい。そして、今度はきちんとした評価をしてください、児童文学界さま。初版当時のように、黙殺しないで……。

 いいかげん、この本の感想もちゃんとあげないと。ということで、取り寄せお願いしているんだけど、まだ来ない。今度はどこから来るのやら。

去年の俺様
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