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ざぼんの皮 2000年 04月


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Apr.14,2000 (Fri)

草上仁『愛のふりかけ』ラジオドラマ版(4/14終了)

 草上仁って、読んだのは『天空を求める者』だけ? 私に長篇偏重傾向が強いからなんだけれど、あ、『ゆっくりと、南へ』は読んだかな? いずれにしろ、覚えていない……。

 この『愛のふりかけ』は著者の第三長篇らしい。1995年角川書店刊。

 近未来。日本は人口増加であっぷあっぷ。政府は国民総順位制度を設けている。総人口1億六千万(だっけ)の中にあって、1億五千万番台のダメ人間であるソウイチは、一発順位アップを狙って、今や蔓延している麻薬「ブラック」の解毒薬を作ろうとして、複数の組織から追われる羽目に。

 ストーリーは、徹頭徹尾軽い。銃撃戦でも、とにかく軽い。

 キャストが良かった。いかにも情けなくて、無責任そうな主人公(キャストを読み上げる時とはかなり雰囲気が違う。役者じゃのう)、真面目そうな兄、とにかくテンポはずしまくりのクジ博士。キャラクターの絵が目の前に立ち上がりそうな演技でありました。女性陣がちょっと弱い気もするけれども、ノリノリではあった。

 それから、ラストのDJは大好きだ! 「○×△ヨロシク! ……俺は、待っているぜぃ」っての。いやあ、こういうノリは大好きだ。

 テンポも音楽も(フェロモン使って、ポール・モーリ(だっけ)アが流れるところとか)、楽しくてよかった。

山之口洋『オルガニスト』ラジオドラマ版(4/7)

 不正な手段によって入手。どうもありがとうございますm(__)m。さすがに、クリアな音声。

 原作の『オルガニスト』は1998年ファンタジーノベル大賞受賞作。新潮社刊。

 これに限らず、原作を既に知っていると、本当に聴きにくい。多分、これも単体ではいいものなんだろうなあと思う。motiveさんのページの掲示板でも評判がいいし。

 ただ、やっぱり原作の一番好きなところを、ごっそり削られてしまっていて、ちょっとびっくり。そこを削りますか!?

 ネタバレ(小説既読の方のみどうぞ)=>グレツキとヨーゼフが、それぞれ全く違う苦悩と野望を持ちながら、利害の一致を見るが、やがて音楽家の狂おしいまでの音楽への情熱に圧倒され、道を踏み外す。この部分がほとんどカット。これでは、なぜグレツキが最後の一線を越えてしまったのか、どれほどまでヨーゼフの音楽への思いが大きかったのかが置き去りでは。 

 とは言え、ヨーゼフ役の山田洋治は、あれはなかなかハまり役だったのでは。つーか、もしかして平成元年『アドベンチャー・ロード』で村田喜代子『盟友』をやった時は、病気か何かだったんでしょうか? 舌噛みまくりだった記憶しかないよ。映画『ナウシカ』のアスベルとか、『もののけ姫』のアシタカとか、宮崎駿のお気に入りなのかしら、この人。

 テオ役の塩澤兼人は、事前に山之口さんから1週目収録時は風邪を引いていたらしいと聞いてはいたけど、これはひどい。1週目の前半なんて、かすれすぎていて声が出ていないじゃないの。2週目とは別人のようだ。

 マリーアは、小山茉美。イメージとは違う気がする。どうもこの人の声で西洋人の容貌を想像できないんだよな、洋画の吹き替えを見ていても。でも、さすがというか、安心して聞けたけど、ちょっと紋切り型。

 しかし、柳生博のラインベルガー教授はいいですね! 私の中のイメージとは掛け離れていたんだけれども、聴いてしまうと、何だか物凄くそんな感じがしてくる。いい声だしね。

 でも、音付きで聞いても、難解な用語は難解なんだよなあ。見ながら聞くのが一番か。このラジオドラマ版は、小説でSF系の人が萌えていた方面よりも、むしろテオとマリーアの関係、音楽的なものに重きを置いて作られている。それはラジオという音のメディアの特性を活かす意味では、当然の方向性なんだろうけど、そのせいでかなりストーリーが弱くなっているような気がするんだよな。

 うーん、どうしても原作と比べてしまう……。むー。

映画『スリーピー・ホロウ』(4/8)

 イカボット、君が何を考えているのかわからないよ!?(;_;)ノ いいのか、これで。

キース・ピータースン「事件記者ウェルズ・シリーズ」創元推理文庫(4/7)

 『暗闇の終わり』『幻の終わり』『夏の稲妻』『裁きの街』からなる。4作目にして最終巻を4月7日に読了。どうもこれを読む時は間が悪くて、一度も感想をあげずじまい。とほほ。無茶苦茶面白かったし、かなりお気に入りになったのに。

 妻と別れ、娘に自殺された、うだつの上がらない事件記者ウェルズ。新聞の制作工程に次々にコンピュータが持ち込まれても、自分一人はタイプライターを使い続ける結構端迷惑な堅物である。だが、人一倍正義感は強く、不正があると見逃せない。

 シリーズは大抵、仕事上の上司との行き違いで首になりかけ、その失地を回復するため(だけ、ではないだろうが)に、特ダネに食らいつき、自らボロボロになりながらも何とか生還するパターン。

 とにかく映画的な小説という印象が強い。渋めのハリウッド映画の、いかにもクレーンやレールを使っていそうな場面が続く。情景描写も、主人公の枯れた心にマッチしていて、読ませる。ハードボイルド(なんだよね? 違う?('-';)も良いですねえ。

 一番気に入ったのは、やっぱり『夏の稲妻』か。間のはずし方まで映画的。このシリーズは謎解きというよりも、サスペンス的な要素の方が強いと思う(門外漢)。前2作はそれが主人公ウェルズの情緒面に傾きすぎのきらいがあるように思えたのだが(それはそれでいいんだけど。そういう小説なんだから)、これが一番バランスが良かった。サスペンスフルなのは、『裁きの街』だけど。テーマ的にも、結構好きだし。

 しかし、どうでもいいんだが、『裁きの街』の茶木則雄の解説は最悪ですな。まあ、確かに最終巻だから、これから読む客をあまり相手にする必要はないのかもしれないけれども、何じゃこれ? キャラ萌え? 

ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』早川文庫(4/14)

 ……うーん。古い、と思ってしまった。うーん。名作なのか……。多分、名作なんだろうと思うけど、楽しめたのかと言われると、唸るしかないというような感じ。

枡野浩一『君の鳥は歌を歌える』マガジンハウス

 4月9日ダサ打ち上げの待ち合わせ場所・紀伊国屋新宿本店で、枡野浩一『君の鳥は歌を歌える』を買った。いただきものの図書券ではあるが、未読の新刊を購入する行為は、非常に久しぶりであるかもしれない。とは言っても、多分半分以上は既読だと思うけど。『鳩よ!』を読む時には、必ず目を通していたコラムだから。三原順の文庫解説もね。

 そもそも枡野浩一を初めて意識したのは、やっぱりそのコラムで、ちらりと川島誠について触れていた時だった。本文で言うと、「つるつるあたまにも親近感!?」(1998.10)。本当にちらりとなんだけれども、ここで、毎回読んでいたこのコラムを書いている人の名前が頭にインプットされたのは、確か。

 川島誠にしてもそうなんだが、この本をぱらぱらとめくっていて、重松清について書かれているものを読んでも、唸ってしまった。「年々技術的には巧みになっていくけれど、それに反比例して年々僕には必要のない作家になっていく……」というところ。読んでいくと、私と思うところは全然違うんだろうけれども、そうなんだよなあ、と同感してしまったのだった。

 短歌については、ほとんど読んだことがないので、計る物差しがなく、いかんとも判断はつかないけど、おもしろいのは確か、と言ったところか。他にも何か読んでみよう。

寮美千子『ノスタルギガンテス』@SPA! 4/5

 寮さんのサイト

3月29日発売 週刊「SPA!」に『ノギガ』登場!
四方田犬彦氏のエッセイ『世界木登り文学』のひとつとして

 とあったのが気になっていたのだが、ここの所バタバタしていたせいで、買い逃してしまったのだった(T-T)。それをやっと先日、会社で見つけた(1週間遅れで入ってくる)。

 というわけで、「SPA!」4月5日号162頁、巻末の「思い出そう。最後に木登りしたのは、いつだったかを(次は火だ―四方田犬彦の狼少年日記[238])」を読んだ。ほぼ3/4ページが『ノスタルギガンテス』の紹介と、感想。感動物だよな、やっぱり。93年初版の、数千部の、マイナー(失礼)出版社の小説を、こんな形で、こんな文芸関係でもなんでもない雑誌に、紹介するなんてことがあるだろうか。

 それも、メディア論云々、木登り云々、かなり小説に対する興味を惹くよう、狙って書かれているように思える。きっと、このコラムを見て、『ノスタルギガンテス』を手に取ろうと思う人がいるに違いないし、いて欲しいと願う。切に。

去年の俺様

Apr.15,2000 (Sat)

日記のバージョンアップ

 使わせてもらっている日記スクリプト「ndiary」のベータ版ができたということで、試してみた。途中、rubyのバージョンが低いために、のとやさんにアホな質問をしてみたりしましたが(どうも有り難うございます)、トピック一覧読了報告はこんな感じ。最初、本関連の話題(◆★)のみを抽出したものも作ろうとしていたんだけど、あまり全トピックと変わらないので、やめた。代わりに、こういうものを作ってみたり(笑)。いやあ、便利になりました。

 過去日記へのリンク一覧が別装になったのも、便利。そのうちスケジュールも実装します。ちなみに今元スクリプトは、トピックのアンカーの「t」をいじった以外変えていません。確か。

去年の俺様

Apr.17,2000 (Mon)

1枚の写真

 実家から封書が届いた。中には大げさにA5サイズまで引き伸ばされた写真が数枚。そのうちの一枚が、壁に張り出された白黒写真と一緒に写っている母の写真だった。母の顔は笑っているが、涙目なのが見て取れる。写真全体がピンぼけなのでよくわからないが、白黒写真は化学か何かの実験室のようだ。試験管や試薬の瓶の棚の向こうに、割烹着を着た数人の女学生と思しき人影がある。

 今年の春、妹が奈良女を卒業した日、普段は入れない大学の記念館で、母は自分の母親の姿を見つけた。同じくその大学の卒業生だった祖母は、母が大学を受験するはずだった日に癌で亡くなっている。

 長崎の祖母が奈良の大学を卒業し、母も長崎から一浪して京都の大学に進み、大阪で結婚し、その娘が祖母の大学に入り、母は祖母の写真に出会った。あまり「よくあること」で片づけられない、奇妙な巡り合わせがもたらした一つの偶然。

 こうして見ると、写真っていいものだよなあ、と思う。

 ……が、同封されている自分の写真を見るにつけ、そのあまりの目つきの悪さに、二度と写真なんか撮るめえと思うのだった。ああ、不意打ち写真だったことを考慮に入れても、悪すぎる(まー、元からだけどさ)。こんなものまで引き伸ばすなよ>父。

自由が丘でカレーを食べて、寮美千子&翠川敬基リーディングパフォーマンスを聴き、歌を歌う。

 4/16は自由が丘でラフオフ3。カレーは旨かった。また行くっす。MURAもチャイが旨いので、かわむつさんにおかれましては、是非行ってみてくだせい。

 カレーの後は、自由が丘っつーことで、オープンカフェでお茶。しかし肌寒い上に、日が照ると日焼けが気になる……。むーん、パラソルほしい。ここでshakaさんとはじめまして。あー、日記のたてかた必要っすか? 青木さんも。

 んで、会場に移動。狭い店内に所せましと椅子が並べられている。やっぱり要予約だったのね(^^;。見回すと、知り合い率が高くて高くて。トイレを出たら真正面に塵芥さんの顔があって、無茶苦茶びっくりした。

 椅子の名札には、東雅夫・幻想文学編集長の名前もあった。ファンクラブ陣は、それを見つけるなり黄色い歓声をあげていたが、その隣で「主演は私よ!」と叫ぶ寮さん……(^^;。騒々しくてすみません(私は叫んでいないけどね。ファンクラブ会員でもなかったし)。

 椅子の名札を手がかりに、おおたさん@粗忽長屋も捕まえる。いきなり無茶苦茶なメンバーに囲まれて、目を白黒させていた。驚かしてすみません。ちなみに塵芥さんの隣には四方田犬彦さんが……。『SPA!4/5』で紹介した流れなんだろうか。凄いなあ。

 さて、本題。今回はチェロとのセッションであった。サックス&ドラムピアノとのセッションや、CD版は、それぞれケンカ……というと違うか、寮さんVS演奏の勝負!!といった感が強かったのだが、それらにくらべると、ゆったりしっくりした感じだった。なだらかなで、ゆったり聞けた。ステージが小さかったから、アクションも少ないしね。音楽にくらい私は、チェロって面白いなあとも思ったり。後半は亡くなった方に捧げる詩が印象に残った。寮さんは遠目から見ても目が潤んでいたが、その後に実はアンコール用の詩が用意してあったらしい。あじゃぱー。

 写真撮影の後、夕食どころへ移動。さすが地元な幹事さまのおかげで、ほどなく安くて旨いイタ飯屋を確保できた。ちなみにこの時点で総勢12人だっけ? 最初のメンバーに、おおたさんと、東編集長も加えての大所帯であった。私は主におおたさんと雪樹さんと塵芥さんとお喋り。話題は、何だっけ? 『スリーピー・ホロウ』の話とか、佐藤亜紀の話とか、メインは何だ? 塵芥さんは、川島誠ページを見ておくんなせい。おおたさんとは、色々とニアミスが多い話とか(大汗)。

 食後は2部屋に分かれてカラオケ。よくよく考えると、この面子でカラオケは初めて。いきなりかわむつさんが、やしきたかじん『東京』を入れたことで、なぜかナツメロ路線に。途中、隣の部屋で熱唱する東雅夫編集長の美声に聞き惚れたり。そのあと1部屋に合流した時には、もったいなくもお隣の席でたっぷり聞かせて頂きましたが……。ファンクラブ入ろうかしら……(--;。森太郎さんも「東さんかっこいい……(はあと)」と目の色が変わっている。その森さんが歌う『ムーンライト伝説』は、マッチョなヒゲオヤジが花占いしているような歌でした。

 たっぷり二時間堪能した後、怪しいメンバーで同じ電車に乗り、おおたさんを黒い道へ二人掛かりで勧誘。前向きに善処して頂けませんか?>おおたさん。つーか、突然ひっぱりこんで、失礼しました。また遊びましょう(^-^)ノ。これに懲りずに。

イアン・バンクス『フィアサム・エンジン』読み始め

 ちょうど読み始めだったので、森さんに感想を伺うと、「私はわからなかったけれども、お薦め度AのAさんと、林さんには面白かったらしい」とのこと。なんだかそれでは、「帯に長いけど、襷には短い」ようなものでは。微妙微妙。

 私は今のところ面白く読めている。尤も、森さんは表紙カバー見返しのあらすじ紹介の存在を知らなかったらしく、私もこれを読まなければわけがわからなかったろうと思う。何というか、私がイメージするイギリス映画そのまんまという雰囲気なのだ。画面で何が行なわれているかは分かるし、ガジェットは魅力的なのだが、全体的にどういうストーリーなのかがさっぱりわからないといような。具体的に作品名をあげろといわれると、わからんけどね。これも、追々ストーリーが掴めるのだろう。

 とにかく、かなり快調に1/3まで読み進めている。完読したい。

ちょんまげ占い

 ちょっと今更ですが、ちょんまげ占い

あなたの時代劇的人格は「火付盗賊改方」です。

【火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)とは?】

放火犯、盗賊などの取り締まりを任務とし、1665年に設置された役職です。幕府正規軍である先手弓組、先手鉄砲組の加役(兼任職)であり、要するに警官ではなく軍人でした。江戸市中を自由に巡回し、独断で踏み込み、容疑者を拷問にかけるという荒っぽい仕事ぶりで、庶民からは敬遠されており、どちらかというと八丁堀の旦那の方が庶民にとっては身近な存在だったようです。唯一人気があったのが鬼平こと長谷川平蔵です。

【あなたの性格】

  • こうと決めたら即実行する行動力がある
  • 他人の評価をあまり気にしない
  • 弱音を吐くのは大嫌いで、苦しい時ほど燃えるタイプ
  • 細かい手続きは苦手で、最初から核心に迫りたがる
相性が良いのは岡っ引き
相性が悪いのは江戸町奉行渡世人

去年の俺様

Apr.18,2000 (Tue)

歌手占い

 歌手占い

 

あなたは「椎茸林檎」タイプです!



RingoShiitake

代表曲:本能寺
特 徴:詞が濃い、鋭い。ガラスにキック。ベンツも叩き切る。

この歌手に分類されたあなたは、自分の世界を醸し出し周りを寄せ付けません。
しかし強そうに見えて実は非常に寂しがりやです。強がりを言う傾向もあります。
本当の自分をわかってほしいという願望は人一倍強いようです。

去年の俺様

Apr.19,2000 (Wed)

母が『だれかを好きになった日に読む本』を読む

 家から写真の件で電話があったので、ついでに、母に『だれかを好きになった日に読む本』を読んだか、ときいてみた。=>4/3

 すると、母はしばし沈黙した後、「あれは小学生に読ませてはいかんでしょう」と渋い声。「最後の一編だけ読まずに置いてある」というんだから、その直前の川島誠『電話がなっている』で引っ掛かったのは明白。予想通り

 でも、実際、あのファンシーな表紙、児童書特有の大きさ、フォントのでかさ、ルビの付きかた、挿絵の感じ、全て小学生(中学年?)を対象に作られているものなのだ。あのシリーズ『きょうはこの本読みたいな』は、小学校図書館にも普通に入っている本だときくし、前半が好評だったのか、全8巻だったものが、全16巻まで拡大されている。私が現時点で持っているもので、一番新しいものが95年10刷(初版90年)であることからも、かなり売れたことが伺える。そして、『だれかを好きになった日に読む本』は、そのシリーズの一番最初、1巻目なのだ。というようなことを母に話した。

 母は「悪質だねえ」と口が重い。「『奇跡の猫遊び』(*1)よりも?」「あれよりも悪質でしょう」「まあ、不思議なのは、どうしてあんなタイトルのああいうアンソロジーに、ピーされたり、ピーになったり、ピーしちゃう話を入れたのかってことなんだけど、どう思う?」「いやあ、わからないね。でも編者が相当変なんだね」

 やあ、しかし、川島誠の初単行本『電話がなっている』を世のお母様方が読んだら、どういう反応を示すのだろう。間違いなく焚書だろうなあ。ほとんど下半身ネタだから(前半がぱっちくて、後半はやらしい)。ぎりぎりのところまで追いつめられ、追い込まれたこどもたちの膿疱が、何かのはずみで弾けて、膿が飛び出す。圧迫感、痛み、苦しみ、そしてそれらからの解放がもたらす快感。一度踏み込めば、決して戻れない淵へ飲み込まれていく、絶望がもたらす暗い悦び。どれもが、とてもリアルだ。そういう話ばかり。……名作ぞろいだ。ほとんどの作品が、アンソロジーに収録されていることからも、それは明らか。でも、一番の名作『悲しみの池、喜びの波』がどこにも収録されていないのはなぜ〜(T-T)。ちょっとピーだけど、あの中では大人しい方では。唯一読後感がうきうきハッピーだし。

 とにかく。あの短篇を書いた川島誠はとても正しい。デビュー短篇集『電話がなっている』も、とても正しく、美しく、真っ当なものだ。でも、このアンソロジー『だれかを好きになった日に読む本』のいびつさは、一体何なんだろう。

*1: 犬童光範著。潮出版社。とても悪質な猫本。その昔、日本甲斐性無し倶楽部の椎原さんに送って頂いたもの。私も母も、いたく気に入っていたのだが、母が教室の子供に貸してしまったらしく、行方不明。私はブックオフに行くたびに探しているのだが
去年の俺様

Apr.20,2000 (Thu)

本バラ?

 『ほんパラ!関口堂書店』という番組が4/29土曜日午後8時から始まるらしい。毎週ゲストに5冊の本を紹介するバラエティだそうだ。制作には小山薫堂が入っている。どんなものになるのやら。

 「きっと、ここで取り上げられた本は爆発的に売れるんだろうよ」「楽屋裏で、枠の争奪戦が展開されているんだろうねえ」などと、会社で野次馬的な会話をしてみたり。うちの本はいかがっすか〜、最近は『週刊現代』が1ページまるまるで取り上げてくれるような本も出しているんですよ、とか。ま、どうせ、『ダ・ヴィンチ』みたいな番組になるに違いないんだが(そして、それはテレビ的には非常に正しい)、興味はあるので、今からビデオをセットしてみたり。

『ダ・ヴィンチ』と言えば、ちょっと古くなるけど、『プレジデント3月号』佐野真一の『「本」は届いているか(最終回)そして「書評」は消費されていく』が面白かった。『このミス』『ダ・ヴィンチ』『本の雑誌』『週刊文春』『朝日新聞』の書評担当者に取材している記事なんだが、一番面白いのは『ダ・ヴィンチ』編集発行人との話。いかにも話が通じてなさそうに書いているのが。脚色しているような気もしないでもなかったりするところも含めて。

 私も『ダ・ヴィンチ』は大嫌いだし、佐野真一のもどかしさもわかるような気はするけど、あれはあれでありだと思う。「売れすぎ」ないとベストセラーにはならないし、「売れすぎ」の状態を作るには、本来はそんな本を手に取りもしない読者対象圏外の人を読者にとりこまなければならない。そのための戦略として、タレントに持たせるとか、作者のビジュアルで売るとか、内容に関係ないところを前面に出すのは、ある意味効率的な方法だと思う。実際、そういうことで動く層は、大きいんだよね?

 ただ、そういう内容によらない「宣伝」を打てる出版社なんて限られているし、そういう出版社にしたところで、全ての本についてそういう宣伝が打てるわけではないし、打ったところで、そういう宣伝にはそぐわない内容の本もあるわけで。こうして、少数の超メガヒットと、大多数の売れない本の間の溝がどんどん深まっていくんだろうなあ、とか月並みな感想。ちょっと難し目の本とか、変わった本とか、もともと購買層が限られている本はどんどん出なくなっていくのかなあ、とか。そえはそれで仕方がないことなんだろう。そういうのが、必ずしも売れている本よりも良いとも、面白いとも限らないし。

 まー、色々な人がアリってことで。でも、やっぱり『ダ・ヴィンチ』はしょうもないよなあ。

神林長平『あなたの魂に安らぎあれ』

 上のような文脈でこの話をすると、あらぬ誤解を招きかねないけれども、最近ミステリ系の方々が『あなたま』を読んでくれていて嬉しい(;_;)。これもひとえに、ロエ蔵さんが、なぜか掲示板のアンテナページ(正式名称は何だ)に「あなたま」とつけてくれているからなんだろうけど、嬉しいぞ。しかも大抵の方は「面白かった」と言ってくれているみたいだし。こういう形で、従来と違う読者層にも響いていくのね。

 でも、やっぱり神林1冊目って『あな魂』なんだろうか。これ、第一長篇だけあって、なんというか、わざわざいわゆる「長篇」の形式に嵌め込んでいるような感じがするんだよなあ。妙なところでハリウッド映画的で、珍しくいかにもな濡れ場もある(他に濡れ場的な濡れ場を思い付けない。『抱いて、熱く』『完璧な涙』は何か違うよね)。その分リーダビリティが高いのは確か。

 あー、kanazawaさんに人を選ぶとまた言われてしまいましたが(ここ4年間言われ続けているような気がするぞ)、やっぱり私のベストは『プリズム』だよ。神林色バリバリで、構成も神林流だけどちゃんとしていて、ネタも硬軟軽重多岐にわたっているし、まさに福袋。そして、美しい。ビジュアルも、構成も、カタルシスも。神林的であることと、リーダビリティのバランスが、一番良く高く出ているのが『プリズム』だと思うのだ。

 『敵は海賊・海賊版』『戦闘妖精・雪風』もいいけど、要素がちょっと偏っている。それはそれで物凄くいいし、大好きだけどね。『雪風』は機械が苦手な人はダメっぽいし(ちなみに私は『魂の駆動体』は全然わからなかった)。『あな魂』が気に入った人は、是非『プリズム』も読んでね(T-T)。

イアン・バンクス『フィアサム・エンジン』途中

 半分超えたところ。とろいのはいつものことだが、こういうのを読むと、「やっぱりSFっていいなあ」と思うのだ。ハードSFとも、スペース・オペラとも別の意味で、「SFにしかできないこと」を体現している小説だと思う。あ、ファンタジーでもできるかも?

 とにかく、結構ワクワクしながら読み進めています。楽しい。

去年の俺様
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