ざぼんの皮 2003年 06月


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Jun.4,2003 (Wed)

映画『家宝』

紹介

 へんてこりんな感触の映画だった。

 以下、身も蓋もなくバラします。

 ストーリーは典型的な悪女物……だと思う。私は東野圭吾『白夜行』bk1/amazon.co.jp】ぐらいしか読んだことがないので、非常に単純な比較になってしまうけれども、この映画は雪穂サイドだけで構成されているといえば、ほぼそのまんま(身も蓋もない……)。と考えると、無茶苦茶わかりやすい映画だったのだが。

 悪女物として、文法的には極めて丁寧に描かれている。自分の容姿と肉体が、異性にとってどのような意味を持つのかを知ったきっかけと、その屈辱。父、男性、人間、あるいは愛への不信。身体の対価となる金への執着(じゃなくて、貧困への猛烈な忌避感か)。望むからこそ、手に入らない状態を憎み、そのため手段を選ばない。支配されることを恐怖するあまり、逆に徹底的に支配(あるいは排除)しようとする。「愛を知らない女」の悲しい物語。

 冒頭で登場人物紹介が世間話のように語られ、彼女が愛ではなく金のために結婚することを告白し、食卓でのぎすぎすした顔見せがある。画面は主に広い家の玄関と彼女の部屋を繰り返し往復し、そして場面転換……、河を渡る鉄道の車窓の風景。何度も何度も、延々と、画面は河を往復する。誰もいない画面なのに、テンポの速いバイオリンのせいで、何だか非常に急かされているような気分になる。それが観客が知らないところで、何かが行われている暗示なのか、いつのまにか時が流れ、知らないうちにどんどん家に住む人がいなくなっていく。後半になって、彼女がメイドの名を何度も呼ぶ段になって、ようやっとそれを知り愕然とした私は、決してストーリーを追い切れているとは言えないと思うけど。

 終盤、常に淀んで停滞し、陰鬱だった画面に、唐突なスペクタクルが現われる。その事件に、実は彼女が関与していたのだ!などなど衝撃の事実が、ラスト近辺でバタバタっと明かされるのは、ちょっと親切すぎる気が。でも、全然なかったら、本気でわけわかんないよウワァァァァン!!! ヽ(`Д´)ノってことになるので、あったからこそ、なかった方が謎めいていて良かったのに、なんて言えるわけだけど。一体彼女が、何を、どうやって、誰を操って、あんなことをしたのか、どこからどこまで彼女の仕業なのか、なんていうことは、この映画にとっては全くどうでもいいことなんだよあ、などということを、映画が終わった後にしみじみ考えていて、そう思わせるための演出だったのかもしれないな。

 ただただ、彼女が画面から浮き立つように美しく(ぬけるような白い肌、黒く豊かな髪、すべらかな背中、真っ赤な唇、黒目がちな瞳、少女のように華奢で、小柄で、柔らかそうな身体)、妖艶でいて、悲しげであれば、それでいい。これは彼女のための映画なのだから。実際、優しさなんか見せかけだけだと、内面の葛藤も言葉として語られているし、演技としてもよく演じられていて、レオノール・バルダックすげー。彼女が野心からああいった行動をとるわけではなく、言わば人間ブラックホールのような虚無的な存在として、何もかもを飲みこんでいかざるを得ない事も描かれているようで、非常に良かった。

 ストーリーや事件など、いわゆるエンターテインメントとして不可欠な部分全てをピンぼけにして、撮りたい所ただ1点にフォーカスを絞った映画。できればもう1回見た方が色んな事が見えると思うけど、そろそろ公開終了なのねん。

去年の今ごろ……

Jun.5,2003 (Thu)

こんなんでてましたけど。

J・G・バラードの千年王国ユーザーズガイド「J・G・バラードの千年王国ユーザーズガイド」 J.G. バラード (著), James Graham Ballard (原著), 木原 善彦
サイズ: 182 x 128cm 発行: 2003/06 価格: ¥3,200
ISBN4-8269-9036-7
『J・G・バラード初の書評&エッセイ・コレクション、ついに登場! ...』

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去年の今ごろ……

Jun.6,2003 (Fri)

映画『惑星ソラリス』

「ソラリスの陽のもとに」 スタニスワフ・レム (著), 飯田 規和
サイズ: 16cm 発行: 1977/04 価格: ¥640
ISBN4-15-010237-6

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 見たのがもう10日以上前だけど、断片的な感想を。

 原作は未読。粗筋は、多分、だいたい耳学問で知っている。予告編はセミナーで見た。というような状態。

 『新ソラリス』は、ハリウッド製で、エロエロっぽくて、あまり評判は良くないみたい(私の見聞きする範囲では)だけど、なるほどこれをリメイクすればエロエロになるであろうなあと、違和感をまるで感じなかった。っていうか、これ自体エロエロだし。原作を読むと違うらしいので、読んだら、あの予告に怒りを感じられるのかもしれないが(^^;。ストーリーを説明すると梶尾真治っぽくなると思った。

 『ストーカー』も、監督は違うが『キン・ザ・ザ』もそうだけど、どうしてソビエトのSF映画って、必要最低限のセットと、日常そのままの衣装で、異世界っぽくなるんだろう。不思議だ。いや、我々にとっては、ソビエトそのものが異世界だからいいんだけど、ソビエトの人にとっても、この画面は異世界として存在し売るんだろうか。u-kiさん曰く、「宇宙で皮ジャンはどうよ!?」だそうだが、見ている間は別に気にならなった<コラ。

 が、嫁さんの服がツボ。あの衣装一つで、超美麗CG、SFXに匹敵するんじゃなかろうか。芸が無茶苦茶細かくて、繊細で行き届いている(夫は皮ジャンだけど!)。あの服があるだけで、物凄くSF。あれ1着に、物語の大きな意味が込められている。あのワンピースこそが、この映画におけるセンス・オブ・ワンダー! じゃない?

 オチ。前半眠かったのも許す!と思った。

 さて、私は本当にタルコフスキーの映画を見たんだろうか……。なんて俗な感想なんだ。

ガルシア・マルケス『百年の孤独』まだまだ読み中。

 最近映画の感想ばっかりなのは、『百年の孤独』をずーっと読んでいるから。もともと読むのが遅いこともあるけれども、これが面白くて面白くて、いつまでも読んでいたい物語なのだ。週刊連載読み切り漫画の単行本のように、細かい盛り上がりと、あるんだかないんだかのオチの連続。全然飽きない。でも、進まない。

 やっと今日200頁を越えた。結局人物相関図はないままだけど、これが正しいような気がしてきた。途中で同じ名前が爆発的に増えて、そのあと大量あぼーん(<をい)される辺り、著者の読者に対する悪戯のにおいがありありなので、読者としては素直に引っかかってあげるべきだと思うのだ、と己の記憶力のなさを棚に上げておこう。というわけで、しばらく見ない名前が出てきた時に、「あ、そういえばそういうエピソードがあったっけ」と思い出せれば良し、思い出せなければそれまで、そのまま読みつづけている。

 ↓を読みたい。

物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室「物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室」 G.ガルシア=マルケス (著), 木村 栄一
サイズ: 20cm 発行: 2002/02 価格: ¥2,700
ISBN4-00-025291-7

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去年の今ごろ……

Jun.8,2003 (Sun)

バレエ『白鳥の湖』

 牧阿佐美バレエ団@ゆうぽうと。バレエは去年12/23の『くるみ割り人形』についで、2回目。前回に引き続き、大学の友人にチケットやなにやらを世話してもらって、というか、くっついて行った。ありがと〜>C!

 主演は草刈民代で、さすがに知っている。ジーグフリードはミハイル・シヴァコフというロシアの人。

 えー、何しろ経験値が低いし、約束事も全然わかっていないし、比較する対象を持たないしで、私には表現する言葉がないのだが、すんごく良かった! 上演時間は3時間(うち休憩40分)なのに、随分短く感じた。『白鳥』はストーリー性が強くて、ものすごくドラマチックだし、それにあの音楽! たまりません。

 マイムは、「踊る」「死」「愛している」「否定」くらい、要するにチュチュの定番マイム(笑)ぐらいしかわからなかったんだけど、Cに「結婚」とかを教えてもらって、3幕を見ると、面白さが増す事増す事。マイムはもうちょっと勉強しよう。

 ストーリーはなんとなく知っている程度だったので、4幕で、オデットと王子が、ロットバルトに向かって、死のマイムをするシーンは、「死ぬ、死ぬ〜」と言っているのか、「死ね死ね〜」と言っているのかどっちだろうと思いながら見ていたり<アホ。

 白鳥の群舞は、綺麗に揃っていて、まるでCGのよう。ものすごく人数が多いのに、編隊を変える動きも、スムーズ。迫力があった。

牧阿佐美はオディールが綺麗だった。オデットもいいけど、オディールは可愛い。今日もよく回ってました。

 王子は迫力の人だったみたい。足音がすごく響く〜。かっこよかった。

 3幕のラストの子ども二人が無茶苦茶かわいい。

 他にも沢山あった筈なのだが、脳味噌にバレエのデータベースが全然ないので、だめだ〜。こういうのは場数と勉強なのだろうなあ。とりあえずストーリーぐらいは予習していこう、次は。

 ゆうぽうとの2階席は傾斜がきつくて、すごく見やすかった。中段ぐらいなのに、舞台に間近な感じ。オーケストラピットも、指揮者以外はだいたい見渡せた(その指揮者も、壁際の窓に映って、見えたけど)。バレエがあって、当然生演奏付きで、3時間で3千円ぽっきりはめちゃ安! じゃなかろうか。

 とりあえず次は、今月末に新宿で上映される『ピーターラビットと仲間たち ザ・バレエ』か。チラシのカエルが無茶苦茶かわいいのよ。

北野勇作インタビューアニマソラリス

 に参加させていただきましたm(__)m。ありがとうございました(^^)。興味のある方はご覧下さいませ。結構とんちんかんな質問をしていますが……。

去年の今ごろ……
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