ざぼんの皮 1999年 12月


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Dec.6,1999 (Mon)

藤崎慎吾『クリスタルサイレンス』

 各所で大評判な藤崎慎吾『クリスタルサイレンス』を読んでみた。

 確かに結構いいんだが、なんなんだろう、ものすごく落ち着いているというか、初めて読む作家で、新人らしいのに、このしっかりどっしり安心感。面白いし、上手いと思う。ハードSFなんだけれど、すらすら読めるし(ついていける。バクスターとかさっぱりわからんので、私)。

 だが、トキメキがないのだ。【火星人】との距離の取り方は好みなんだけどなあ。ラストもあまりの健気さに思わず涙ぐんだし。でも、なんだかときめかない。どうしてなんだろう? うーん、確かにあちこちで書かれているようだけど、小松左京に似た読後感ではあるなあ。まとまりが良すぎる? 視点の高さが人間の目線でしかないのが物足りない?(もっと上からぐぐーっと行って欲しかった)

 それとも期待のし過ぎという奴なんだろうか、また。悲しすぎ(;_;)。

新井素子『チグリスとユーフラテス』日本SF大賞

 なんだそうだ。わからねえ!! とは言え、選評が読めるのなら、何でもOK! めでたい(^-^)ノ。これ、新井素子ファン以外にリーダビリティがあるのでしょうか?という私の疑問に答えてくれるであろう事を、期待! 超期待!!

 山周賞の時には今以上に期待していたんだがねえ。「SF」としてではなく、「小説」として評価してくれるものとばかり思っていたのに、いささかSFとしては想像力に欠けるし、小説として一番必要なこと(注:人間を書くという事?)が欠けてしまっているのに、なぜか「SFだからしょうがない」ってところに落ちていて、理解不能だったのだ(ちょっとパラフレーズか(^^;)。じゃあ、あなたたちの言う、「SF」(正確に言うと、「SF小説」)って何ですかね?とか。明らかに不等な高下駄を履かせたあの扱い、納得イカン。

 SF大賞では、ちゃんと欠点を踏まえた上で、それを越える「SFとしての」良さを説明してもらいたい! マジですんげー知りたいんです。

 って、サイファイ掲示板で聞いたら説明してくれそうという気はするんだけれども。だって、『チグユー』が面白いということを前提に話をされているからなあ。うぬー、SFとして『カムナビ』(未読〜)が駄目で『チグユー』ならいいというのも、謎謎謎。でも体力ないし、何より牛騒動に寄りも触りも近づきもしたくないからなあ。

 で、選評って何にのるのでショッカー!!!???

 まあ、別に自分が「駄目じゃん!」と思った小説の方が世間では評判が良かったり、その逆ってことは良くある事なんだろう。でも『チグユー』の場合は、その落差が想像を絶している。自分のために、その落差の間にあるものをしっかりと見据えたい、と思わずにはいられないほどに。うがー、頭が痒い〜。

ヴォネガット

 豪州のKちゃんから手紙。ヴォネガットが読みたいらしい。何でも、向こうで『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』を見つけて気に入ったらしいのだ。ちなみに手に取ったのは、『はみだしっ子』でグレアムが読んでいたからだとか。

 でも、残念ながら私の方はヴォネガットはほとんど読んだ事が無いのだ。『ガラパゴスの箱舟』を導入だけ読んだ記憶があるくらい。まあどうせ古本屋で見つけた先から送る事になるんだろうけれども、どれが面白いんだろう?(面白くないんだろう?)

晩飯の問題

 最近彦坂さんの日記の晩御飯が楽しかったり(^-^)。私はあと3日ほどシチューです(笑)。コーンとかトマトを入れてバリエーション付けられるからいいけど。

去年の俺様

Dec.7,1999 (Tue)

新井素子『チグリスとユーフラテス』

 うむー忘れてはおりませぬ〜(^^;。「新井素子ファン以外にもリーダビリティはあるのか?」「いいという人もいる」ってことは分かります。でも、それがなぜなのかはわからない。「ちゃんと欠点を踏まえた上で(ここ重要!<書こうとしてやめた私(--;。毒されている)、それを越える良さを説明してもらいたい」んですわ。

 私には見逃せないほど大きいと思われる欠点を、見逃した上で評価したのか、ノーカンにしたのか、それほど大きな欠点と捉えなかったのか、むしろ美点であると解釈したのか、そうしてしまえる理由はなんなのか(新井素子だから、は不可〜(~^T)g)。その上で賞を取ったり、候補にあがったりするだけの価値がどこにあるのか? それを知りたい。って、無理だよ、選評にそれを求めても〜って感じはしますが。ちなみに山周は「SFだから」ってことでノーカンにしてました。じゃあ、SF大賞は?

池上永一『復活、へび女』

 先週新聞をまとめて切っていた時に、映画『ナビィの恋』の記事を読んで気分がオキナワンになってしまった。そこで池上永一を借りようと図書館に行ったら『風車祭』しかなく、それではあまりに重過ぎるので(長篇を読む体力ないし)、代わりに目取真俊『魂込め(まぶいぐみ)』を借りたのだった。我ながらナニカチガウと思ったが、沖縄繋がりってことで。すぐ目の前にあった池澤夏樹でもいいような気がしたんだが、それも太いものしかなかったし。

 だが週末は『クリスタルサイレンス』だったので、今日取り寄せた『復活、へび女』を借りて、目取真はほとんど開かないまま返却。いつものパターンだなあ。

 実を言うと借りっぱなしの北村薫『盤上の敵』も読みかけなのだが、イヤ〜ンな感じで読み進めないのだった。体調が悪い時に読みたくはないな、こういうの(;_;)。すみません、カワカミさん、18日までには必ず〜〜〜。

 しかも、一部で異常な高値をつけたらしい岩本隆雄『イーシャの舟』も通勤本として持ち歩き中。しかしこれも……。今朝行きの電車で読んだ【隠し子】という展開にずっこけ。うううううううううむ。

 そういうわけで、帰りは電車の中で『復活、へび女』。最初の「マブイの行方」しか読めなかったのだが、これがいい。そうそう、こういう感じのが読みたかったのだ。沖縄でも何でもいいんだが、こういうぼよよ〜〜んと穴だらけな感じが。いいねえ。

 ところで「マブイの行方」しか読めなかったというのは、途中で本を閉じたからではない。通勤の電車に乗ってまるまる読める分量が16ページしかないんだな。……もっと遠いところに引っ越そうか?

去年の俺様

Dec.8,1999 (Wed)

日本SF大賞『チグリスとユーフラテス』新井素子

 みのうらさんの「もとこひめにかんむりを」ってのは痛すぎる気が……(^^;。でも主旨的にはそれでも可なんでしょうけど。売れているということは、やっぱりそれで偉いと思う。真面目に。

 実はあの候補作のうち、既読は『チグリスとユーフラテス』と、神林長平『グッドラック』だけなんだが、自称神林ファンとしても(最近自信がないんだが)、『グッドラック』を候補に上げるのはどうかと思ったし、きっともしそれがSF大賞をとったとしてもげんなりしたと思うんだよなあ。私は楽しめたけれども、賞、ってことになると話は別という気がする。といって、実際に過去に賞を取った『言壷』にしたって、私はしっくり来ていないし。

 ちなみに谷甲州好きなのに『エリコ』を全く手にとっていないのは、谷甲州好きというよりも「航空宇宙軍好き」だからなんだろう(『ヴァレリア』も4冊目で止めていたりもするしなあ)。これもどっちかというと大長編でどかーんと取るよりも、短篇でぽこんと取ってほしいという気がする。……そういうシリーズなんじゃないのかと思っているんだけれども、大鑑巨砲主義?(ちゃうか) やっぱり重かったり硬かったり長かったりする方が強いのか。でも『終わりなき索敵』にはそれだけの地力が(これまでのシリーズの積み重ねの結果としても)あったと思うので、これで賞を取っていたらしっくりきたか。

 で、選評はどこに載るの???<まだ知らない……(^^;

老婆

 葉山さんの『チグリスとユーフラテス』評については、「そーかー?」と思うところがままあり(特に「転」の部分について。他にも色々)、うーん、と思ってしまったのでした。色々お話を伺いたいなあとか(^^;。

 んで、老婆の話。以前私は『さんまのからくりテレビ』の「ご長寿早押しクイズ」が大嫌いだった。ナインティナインの番組(タイトル失念。以前友達の部屋に遊びに行った時についていて、「頼むからチャンネルをかえて」と懇願した事がある)よりも、大食い選手権(食べ物を粗末にする番組を見ると、激しい嫌悪感を覚える)よりも、嫌だった。「からくりビデオレター」も嫌いだ。ちなみに「玉緒が行く」も嫌いなんだが、それは私が中村玉緒をどうにも好きになれないだけで、特に絡むわけではない(^^;。

 でも、くだらないビデオとか、「ファニエスト・イングリッシュ」は好きなので、漫然と見てしまう事もあり、いつの間にか「ご長寿早押しクイズ」に慣れてしまっている自分に驚愕したのだった。人間何にでも慣れるものなのだなあ、恐ろしい。

 そして今『復活、へび女』を読んでいる。収録短篇8作中5作まで読んだんだが、これがほとんど老婆の話。それが6編ともそれぞれ外れが無く、このまま行けば全体として、今年のベストかも!と思うほど面白いのだ。電車を降りて歩きながらも読まずにはいられないくらい。行きの電車では32ページまでしか読めなかったのだが(よよ)、昼休みも帰りもずんずん読めてしまった。

 検索してみるとあまり話題になっていないみたい。短篇だからなのだろうか。私的には『バガージマヌパナス』よりも二周りは良いと思うぞ。というわけで、さっさと読むつもり。あと3編。

 ちなみに(飛びまくっているが)『ハサミ男』の**に迫る(ネタバレ注意)については、りなりなさんと同じく、【私もあれはアリだと思います。っつーか、割と共感していたりして。異常ではなくても、女性の心理としては、ごにょごにょ……、って異常ですか、私も〜(;_;)。ええ、そうですとも!】。客観って大事。うう(;_;)。

 あー、私は読まずに『イーシャの舟』を転売してばかりいました〜。失礼しました〜。

去年の俺様

Dec.9,1999 (Thu)

小さな茄子

 某所で山之口洋さんが健在である事を知る(って何かあったようではないか!?)。今週からNHK-FMの青春アドベンチャーで『オルガニスト』が始まっているはずなのだが、またぞろMDデッキに敗北してしまい、月曜日を諦めた。ので、聴いていない(;_;)。再放送(17:45〜18:00)を捉えるつもりでいるのだが、12/23(木)の再放送は18:30〜18:45というトラップが〜〜。

 でも、塩沢兼人がテオってのは、強烈に違うと思うなあ。つーか、ラジオドラマの主役向きの声ではないような気がする。強烈すぎるから、一言喋るだけでも浮く。だ、大丈夫なんだろうか。共演は誰なんだろう、気になる〜。

 とか言っていたら、松田洋治も出ているらしい。割とこの人はラジオドラマの主役向きの声というイメージが。単に私が村田喜代子『盟友』の印象が強いからかもしれないけれども。ああ懐かしい匂いがプンプンするよ。

 それにしても憎いのはこのMDデッキ! 17曲め以降がぶつぶつに切れるので、1万円以上もかけて修理に出したんだが、それ以降録音が成功した試しがない(試しに数秒録音するのは成功するが)。あー、買い替えたい、買い替えたい!

 次に買う時は、

  • 内臓電池がない(電源を一度抜くと、すぐにタイマー関係の設定がリセットされる)
  • リモコンがないと何もできない
 ようなデッキは買わないぞ! できればもっとコンパクトな奴で、フロントローディングで、四角いやつがいい。……カーステレオ?

 でも、いつになることやら……。ははは(^^;。

池上永一『復活、へび女』

 無事読了。とりあえず今のところ唐突に今年のベストです。

 今日読んだ3篇は昨日までの老婆の応酬とはうって変わって、老婆物でもなければ、沖縄物でもない、しかも暗めのお話ばかり。いやしかし、それでもいつものどこかとぼけた感じが生きている。

 特に最後の『木になる花』。けっこうオーソドックスなんだろうけれども、私は真正直に強烈に食らってしまった。道端で(歩きながら。危険だが、電車から降りちゃったんだもん)読んでいるのでなければ、呆然となっていたでしょうな。

 ホラーなのか、ファンタジーなのかわからないけれども、妄想の話だと思った。沖縄色一色の1篇目は、登場人物が皆沖縄という大きな妄想(一応注:沖縄人が妄想っぽいと言いたいのではないです。このお話の世界の話)を共有していて、その中で等しく走り回っている。2篇目、沖縄の妄想を共有しない一人の日本人の青年が登場。以降、妄想と外の世界とのせめぎあいが、読み進むにしたがって強烈になっていくような感じ。身を守るために自分一人の妄想を育み、それによって攻撃的になったり、突然愛に目覚めてしまったり、外との関係を自ら断ち切ったり、外から拒絶されたり。

 うーん、『風車祭』も読まなきゃ駄目ですか? でかくて重いんだよなあ、あれ……。

去年の俺様
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